1988 Fiscal Year Annual Research Report
脈絡膜新生血管と網膜色素上皮の関連性の解明および治療法の研究
Project/Area Number |
63480401
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宇山 昌延 関西医科大学, 医学部, 教授 (30025580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 直子 関西医科大学, 医学部, 助手 (10194838)
山岸 和矢 関西医科大学, 医学部, 助手 (90174599)
板垣 隆 関西医科大学, 医学部, 講師 (30140255)
大熊 紘 関西医科大学, 医学部, 講師 (70077775)
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Keywords | 網膜色素上皮 / 脈絡膜新生血管 / 網膜下新生血管 / 新生血管黄斑症 / レーザー光凝固 / 老人性円板状黄斑変性症 / 網膜色素上皮障害 |
Research Abstract |
老人性円板状黄斑変性症の原因である脈絡膜新生血管の発生病態を解明し、レーザー光凝固による治療法を確立するため実験研究を行った。 サル眼眼底に強いレーザー光凝固を行うと実験的に脈絡膜新生血管を発生させるうる。われわれの従来の観察でその自然経過では、新生血管の発展および退縮の両方に網膜色素上皮の関連が強いことがわかっている。本研究ではまず色素上皮を選択的に障害することがわかっているヨード酸ソーダを静注、又はオルニチンを硝子体注入により投与した。ヨード酸ソーダを予めサルに投与して色素上皮の変性をおこしておくと、眼底に光凝固を加えても新生血管は発生しなかった。同様にオルニチンを硝子体内注入して色素上皮を変性させておいて光凝固を行っても、新生血管は発生しなかった。このときBruch膜の下には脈絡膜血管からの血管修復はみられたが、それは凝固部をとおって網膜下へ進入することはなかった。また凝固部に色素上皮の増殖はみられなかった。一方光凝固後一旦新生血管が発生したのちにヨード酸ソーダ静注又はオルニチン硝子体内注入を行うと、新生血管は自然退縮することなく、8週をこえても進展を続けて大きい新生血管となった。このときこれら薬物により色素上皮が障害されて色素上皮の増殖がおこらなかった。すなわち増殖した色素上皮による新生血管の囲い込みがおこらないからであった。 これらの実験によって、脈絡膜新生血管が網膜下に発展するのには網膜色素上皮の同伴を必要と、新生血管の発展期には、色素上皮は新生血管を誘導的に働いていることが示された。一方脈絡膜新生血管の退縮時には網膜色素上皮に新生血管を囲い込んで退縮させるように働いていることが明らかになった。このように網膜色素上皮は脈絡膜新生血管の発生と退縮に大きい関係があることがわかった。
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[Publications] 山岸和矢,大熊紘,板垣隆,加藤直子,宇山昌延: 日本眼科学会雑誌. 92. 1618-1628 (1988)
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[Publications] 山岸和矢,大熊紘,板垣隆,加藤直子,高橋寛二,宇山昌延: 日本眼科学会雑誌. 92. 1629-1636 (1988)
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[Publications] 高橋寛二,板垣紘,山岸和矢,大熊紘,宇山昌延: 日本眼科紀要. 39. 1444-1450 (1988)
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[Publications] 高橋寛二,大熊紘,板垣隆,宇山昌延: 日本眼科学会雑誌. 92. 1797-1808 (1988)
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[Publications] 高橋寛二,大熊紘,板垣隆,宇山昌延: 日本眼科学会雑誌. 92. 1809-1817 (1988)
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[Publications] Takahashi K.;Ohkuma H.;Uyama M.: Trans Asia:Pacific Acad.Ophthalmol.11. 468-470 (1988)