1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480406
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉木 周作 昭和大学, 歯学部, 教授 (30085740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 講師 (90119222)
山口 朗 昭和大学, 歯学部, 助教授 (00142430)
|
Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨改造 / コラゲナ-ゼ / 骨吸収 / 活性型ビタミンD / 副甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
近年、骨細胞生物学の進歩により、骨改造過程が細胞レベルで明らかにされつつある。その中でも特に注目されているのは、骨吸収過程における骨芽細胞と破骨細胞の役割を解析することである。そこで、本研究ではin vitroで骨芽細胞と破骨細胞の機能を解析することを目的として実験を行い、以上の結果を得た。 骨芽細胞の機能の解析:骨吸収過程で骨芽細胞はコラゲナ-ゼを産生し、直接骨基質を破壊している可能性があるため、種々の実験を行い次のような結果を得た。(1)ラット骨肉腫細胞であるUMRー106と我々が新生児ラット頭蓋冠より樹立した5種類のクロ-ン化骨芽細胞様細胞におけるコラゲナ-ゼ産生能をウサギ抗ラットコラゲナ-ゼ抗体を用いて免疫組織学的に検索した。その結果、全ての細胞がコラゲナ-ゼを産生していることが明かとなった。(2)潜在型で分泌されたコラゲナ-ゼの活性化過程で重要と考えられている組織プラスミノ-ゲンアクチベ-タ-の産生能を免疫組織学的に検討した結果、前述した全てのクロ-ンで産生が認められた。(3)FITCー標識コラ-ゲンを用いて各クロ-ンのコラゲナ-ゼ活性を測定した。その結果、この測定法ではPTH、1,25(OH)_2D_3などの骨吸収促進物質で細胞を刺激しても有意なコラゲナ-ゼ活性の上昇が認められなかった。そのため、さらに感度の良い[^<14>C]標識コラ-ゲンなどを用いて検討する必要があると考えられた。(4)[^3H]ープロリンで標識した新生児ラット頭蓋骨より骨芽細胞を除去後、その上で各クロ-ン化細胞を培養し、[^3H]ープロリンの培養液中への放出を測定することにより骨基質の破壊度を検討した。その結果、1,25(OH)_2D_3は、骨基質の破壊を促進することが示唆された。 破骨細胞の役割の解析:(1)in vitroでマウス骨随細胞より効率よく破骨細胞様細胞を形成できる系を樹立した。(2)この系を用いて1,25(OH)_2D_3、PTH、ILー1、PGE_2などは破骨細胞形成を促進し、calcitonin,interferon γなどは破骨細胞形成を抑制することを明らかにした。(3)マウス脾細胞と新生児マウス頭蓋骨より分離した骨芽細胞様細胞を1,25(OH)_2D_3とデキサメサゾン存在下で共培養すると、破骨細胞様細胞が形成されることを見い出した。この場合、破骨細胞様細胞の形成には骨芽細胞の存在が重要であることも明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Udagawa,N.,Takahashi,N.,Akatsu,T.,Sasaki,T.,Yamaguchi,A.Kodama,H.,T.J.,Suda,T.: "The bone marrow-derived stromal cell lines MC3T3-G2/PA6 and ST2 support osteoclastlike cell differentiation in cocultures with mouse spleen cells." Endocrinology. 125. 1805-1813
-
[Publications] 吉木周作: "脱灰切片による硬組織内物質の組織形態的観察法に関する一連の研究." 昭和歯学会雑誌. 8. 247-255 (1988)
-
[Publications] 山口朗,吉木周作: "骨芽細胞の形態と機能の多様性." 臨床科学. 25. 241-248 (1989)
-
[Publications] 山口朗,吉木周作: "骨のコラゲナ-ゼ." 骨代謝誌. 7. 50-57 (1989)
-
[Publications] 山口朗,池田通,吉木周作: "骨芽細胞の培養." 組織培養. 15. 155-159 (1989)
-
[Publications] Yamaguchi,A.,Kahn,A.J.: "Clonal osteogenic cell lines express myogenic and adipocytic developmental potential."