1988 Fiscal Year Annual Research Report
口腔連鎖球菌の嫌気的糖代謝系酵素の量的調節機構の研究
Project/Area Number |
63480409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 一彦 東北大学, 医学部, 助教授 (40151089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 正 東北大学, 医学部, 教授 (50005021)
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Keywords | ピルビン酸ギ酸リアーゼ / 酸素感受性酵素 / Streptococcus mutans / 嫌気糖代謝 / Actinomyces / Streptococcus sanguis |
Research Abstract |
酵素感受性の高いピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)はStreptccoccus mutansやStreptccoccus sanguisの嫌気糖代謝におけるギ酸、酢酸糖の産生に必須である。S.sanguisのPFL.は糖欠乏条件において酸素耐性な可逆的不活性型に変換するのに対し、S.mutansでは糖が欠乏しても酸素に感受性な活性型を維持していることがわかった。そこで各種の糖発酵性口腔細菌を嫌気条件下で培養して検討したところ、PFLは限られた特定な細菌にのみ存在する特殊な酵素ではなく、広く多くの細菌に分布していることが明らかとなった。また、PFLの性質により以下に示す大きな2つのグループに分けられた。(1)S.mutams Streptococcus salivarus,Actinomyces viscosus,Actinomyces naeslundiiは糖の欠乏した条件においてもPFLを活性型に保つのに対し、(2)S.sanguis,Streptococcus mitior,Streptococcus lactis,Streptococcus diacetyl actis,Lactobacillus caseiなどでは糖けつぞう条件ではPFLを可逆的な不活性型に変換すること。そして(1)のグループのPFL活性は(2)のグループに比べて5〜10倍も高いことなどが明らかとなった。また、S.mutamsと同様、Actinomycesでも酸素存在下ではギ酸や酢酸の産生がほとんどみられなくなり、PFLはActinomycesの糖代謝においても重要な役割を担っていることがわかった。 一方、streptococciのPFLの各コンポーネント並びに活性化酵素、X因子(PFLを不可逆的に失活させる因子)の分離・精製も進行中である。PFL活性化酵素はかなり不安定な性質を持つが、硫安沈澱と脱塩操作により、回収率を高く保つことが可能となり、PFLに比べて分子量が小さいこと、疎水的性質をもつことがわかってきた。今後は精製をさらにすすめてそれぞれの性質を調べ、上記の2つの口腔細菌のグループにおけるPFLの働きと調整機構をさらに詳細に検討したい。
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Research Products
(2 results)