1989 Fiscal Year Annual Research Report
舌組織における組織増殖時のヒスタミン、ポリアミン変動と薬物の影響
Project/Area Number |
63480413
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Research Institution | OKAYAMA University |
Principal Investigator |
古田 裕昭 岡山大学, 歯学部, 教授 (30018428)
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Keywords | 舌 / 肥満細胞欠損マウス / DMBA誘発舌癌 / ヒスタミン |
Research Abstract |
生体内における主要なヒスタミン貯蔵細胞である肥満細胞は腫瘍増殖時においてその数が増加することが知られるが、その役割については意見の分れるところである。昨年度は先天的肥満細胞欠損マウス(w/w^v)の舌にエ-リッヒ腹水癌細胞を移植。腫瘍増殖初期における肥満細胞およびヒスタミンの役割を検討、両者が増殖に重要な役割を果す可能性を示唆した。本年度においては抗ヒスタミン生成酵素剤αーフルオロメチルヒステジンの作用を同一実験において検討中である。一方、薬品入手に時間を要したため、ヒスタミンの役割について、DMBA誘発舌癌を中心に検討を加えた。〔実験概要と結果〕実験(1):DMBA誘発舌癌を使用、形成後の時間的経過をみた腫瘍組織中のヒスタミンおよびポリアミンの定量を行った。雄ハムスタ-舌左側に180日間、2日間隔で発癌物質DMBAの1%溶液を塗布、腫瘍形成を肉眼的に確認後、発癌操作を中止、2ケ月放置、腫瘍の充分な形成を計りその腫瘍組織(偏平上皮癌)中のヒスタミン、ポリアミン量の測定を行った。また、放射線3Gy一回照射10日後におけるアミン量変動を定量した。その結果、腫瘍組織におけるポリアミン量の増加を認め、放射線照射により減少するを認めたが、ヒスタミン量は何ら変化を示さなかった。実験(2):DMBAによる舌癌誘発開始時のヒスタミン生成酵素(HDC)およびプトレシン生成酵素(ODC)の活性変動を検討した。雄ハムスタ-舌左側にDMBA塗布後、4時間および6時間後におけるHDCとODC活生を測定した。また、蛋白生成阻害剤であるアクチノマイシンD同時投与の影響を検討した。その結果、HDCおよびODC活性はわずかな増加を示したが、アクチノマイシン同時投与によりHDC活性は著明な増加を示した。〔結論〕以上より、腫瘍組織増殖時において、ヒスタミンが重要な役割を果していることが示唆された。現在、更に検討中である。
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[Publications] 秋田和俊,岸幹二,古田裕昭: "DMBA誘発舌癌における放射線照射及びセファランチンのポリアミン変動に対する影響" 歯科放射線学会誌.
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[Publications] Yukihiko Tamura and Hiroaki Furuta: "Studies on cadmium-induced metallothionein in dental pulp of rat incisor." Japanese Journal of Pharmacology(abstracts). 50. 303P (1990)