1989 Fiscal Year Annual Research Report
抗ミエリンプロテインモノクロナル抗体による歯髄疾患の神経病理組織診断
Project/Area Number |
63480422
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永澤 恒 九州大学, 歯学部, 教授 (10013848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 善彦 九州大学, 歯学部, 講師 (20150477)
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Keywords | 末梢神経 / ミエリン糖蛋白 / モノクロナル抗体 / 神経病理組織診断 / 歯髄 |
Research Abstract |
末梢神経のミエリンには、50%以上を占めるPO糖蛋白の存在することが特徴である。この糖蛋白は、ミエリンの多重層形成に重要な役割をはたしていると考えられている。本研究は、このPO糖蛋白を分離・精製したのち、これに対するモノクロナル抗体を作製し、この抗体を使って歯髄疾患の病態を神経病理組織学的に解明することにある。 1回の実験に9週齢のウイスタ-ラット(250〜300g)を6匹使用した。エ-テル麻酔のうち、頸椎脱臼にてラットを屠殺し、腋窩、筋皮、正中、橈骨、尺骨、座骨の各神経を摘出した。摘出神経は、8倍量の0.32Mショ糖液でホモジナイズした。その後、ショ糖密度勾配遠心を2度行い、粗ミエリン画分を得た。次に、ミクロゾ-ム、軸索細胞質を除去する目的で、遠心、低張処理操作を行った。得られた沈殿は、0.03M塩酸中でかくはん後、遠心にて酸不溶性画分を得た。最後に、メタノ-ル・クロロホルムにて溶解ののち遠心し脱脂を行った。脱脂乾燥された試料は、10%SDSに再溶解したのち、遠心上清をゲル濾過用試料とした。試料約1mlをSephacryl Sー100カラムにかけ、2%SDSを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用い3mlずつ分画した。ピ-クの検出されたフラクションは約12倍に濃縮後、0.1%SDSを含む12.5%ポリアクリルアミドスラブゲルで電気泳動した。20mAで約2時間泳動後、CB、PAS染色を行った。CB、PAS染色にて約32KDの所にバンドが認められた。このことから、今回、分離・精製されたものはPO糖蛋白と結論できる。 また、電気泳動の結果、単一のバンドが得られたので、今後は、ゲル濾過後の濃縮サンプルを直接抗原として使用し、in vitro法によるモノクロナル抗体を作製し、歯髄疾患時の歯髄神経の変性・再生現象を検討していきたいと考えている。
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