1989 Fiscal Year Annual Research Report
Rabbit Earchamber法による水酸化カルシウムの薬理効果の検討
Project/Area Number |
63480424
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
若林 始 昭和大学, 歯学部・第一歯科保存学教室, 助教授 (90175688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 篤 昭和大学, 歯学部・第一歯科保存学教室, 講師 (70194610)
立花 均 昭和大学, 歯学部・第一歯科保存学教室, 講師 (20146872)
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Keywords | ラビットイア-チェンバ- / 根管充填剤 / 生体観察 / 水酸化カルシウム |
Research Abstract |
水酸化カルシウム系根管充填剤の組織反応を検討するため、RECで生体観察を行った。(1)水酸化カルシウム粉沫単味(2)水酸化カルシウムペ-スト(滅菌生食水)(3)シ-ラペックス(Kerr)(4)ビタペックス(ネオ製薬)(5)試作水酸化カルシウム系根管充填剤(不飽和高級脂肪酸と水酸化カルシウムの練和によって硬化する)の五種類と比較した。 水酸化カルシウムペ-ストでは、挿入直後に高PHのため周囲組織が溶解した。3時間後には溶解部と組織との境界部に直径20〜50μmの結晶物が沈澱し、12時間後には更に数が増加し連合して、クラスタ-状になった。24時間後には、結晶物は堤防状に成長し、組織と挿入部を隔絶する形になった。1週から10週までは安定し、毛細血管がクラスタ-に接近して存在した。微小循環網では大きな変化は無かったが、白血球の血管壁粘着が長く持続し、水酸化カルシウムにはある程度の組織刺激性が持続することがわかった。10週後も堤防状の結晶物は吸収されずに残存し、最外層は無構造な形態を呈した。 この結晶物は組織液との反応による炭酸カルシウムの結晶と考えられ、しだいに血漿タンパクも結合すると思われる。また、持続する軽度の刺激が生体にとって有益なものか有害なものか今後、検討の余地がある。この堤防状のクラスタ-は、歯内療法における水酸化カルシウムの応用に一つの根拠を与えるものである。 水酸化カルシウム単味、シ-ラペックス、ビタペックスなどでも同様のクラスタ-が形成された。このクラスタ-は水酸化カルシウム製剤に特有のものと思われる。しかし、試作水酸化カルシウム系根管充填剤はこのようなクラスタ-をつくることはなかった。
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[Publications] 若林始,船登章嘉他: "根管充填剤の組織反応を検討するための改良型ラビットイア-チェンバ-について" 日本歯科保存学会雑誌. 32. 1109-1114 (1989)
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[Publications] H.WAKABAYASHI et al: "Modification of rabbit ear chamber for inーvitro observation of the irritation potential of a root caval sealer" Microcirculation annual 1989. 25-26 (1989)
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[Publications] 若林始,堀川真奈美他: "ラビットイア-チェンバ-法による根管充填剤の組織反応の検討 1.新開発根管充填剤" 日本歯科保存学雑誌.