1989 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療における化学療法と温熱療法の併用効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63480449
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西連寺 永康 日本大学, 歯学部, 教授 (40058839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮井 唯敏 日本大学, 歯学部, 助手
若松 佳子 日本大学, 歯学部, 助教授 (30059084)
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Keywords | 温熱療法 / 化学療法 / 増強効果 / がん治療 |
Research Abstract |
がん温熱化学療法を施行するにあたり、より良いがん細胞致死効果を得るためには、用いる化学療法剤の種類とその量、温熱療法の温度と処置時間、及びその処置の順序が問題となる。これらがん温熱化学療法の基礎研究として、がん臨床でよく用いられているグレオマイシン及びシスプラチンを選択し、まず37℃における致死効果を薬剤の濃度及び処置時間の変化に対して調べ、次に温熱と化学療法剤の組み合わせで増強効果の有無、及び両処置の処置順序の影響を調べた。 実験はすでてin Vitroにて行い、致死効果は生存率曲線を得ることにより調べた。細胞には、Chinese hamster ovary(CHO)細胞を用いた。37℃における生存率曲線では、ブレオマイシンに対する生存率曲線で、薬剤及び処置時間を変化する生存率曲線とも屈曲点を有する曲線を示したのに対し、シスプラチンでは、肩のある直線として示された。 温熱は化学療法の併用では2剤とも相乗の増強効果を示したが、ブレオマイシンに対してはなお、屈曲点を有する曲線として認められた。温熱と化学療法の処置順序の変化では、2剤ともその同時併用で最も大きな増強効果が得られた。これに次いで、温熱十化学療法では同時併用に近い増強効果が得られたのに対し、反対に化学療法+温熱の組み合わせでは比較的に小さな増強効果が示された。また、両剤とも温熱と化学療法処置の処置間隔を長くすると、その増強効果は小さくなり、ほぼ24時間で相乗効果を失い相加効果となった。ブレオマイシンとシスプラチンにおける温熱増強効果の大きさの比較では、シスプラチンにおける温熱増強効果が、ブレオマイシンにおける効果より大きく認められ、これにより、温熱と化学療法の併用効果では用いる薬剤の違いによりその増強効果の大きさが異なることが示唆された。
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[Publications] Hasui,T.,Majima,H.,Shimura,M.,and Sairenji,E.: "Thermal sensitivity of thermotalerant cells at temperatures between 42 and 45℃ in Chinese hamster ovary cells.ーArrhenivs Analysisー" J.Jan.Soc.Ther.Radiol.Oncol.2. 17-26 (1990)