1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480460
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鶴藤 丞 東北大学, 薬学部, 教授 (40012596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 助教授 (20006357)
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Keywords | 抗炎症薬 / 空気嚢型炎症モデル / ザイモサン炎症 / プロスタグランジンロイコトリエン / グルココルチコイド / 血管透過性反応 |
Research Abstract |
1.実験系の検討 本研究室に開発した各種空気嚢型炎症モデルの血管透過性反応の時間経過についてまず調べ、それらの炎症の血管透過性の高い時期にプロスタグランジン(PG)が炎症の化学仲介因子として関与しているか否かをシクロオキシゲナーゼ阻害薬を活用して検討した。このようにPGの関与が明確な炎症モデルを選び出した上で、炎症局所の組織液(嚢内液)のペプチド型ロイコトリエン(LTC,LTD,LTE)を高速液クロによって測定し嚢内液中のLTレベルの時間経過を明らかにした。その結果、ザイモサン空気嚢型炎症の炎症惹起後30-60分の時間がPGの関与が明確である上にLTレベルも高いので実験系として採用した。 2.グルココルチコイドの作用の検討 上記の実験系を用いて検討したところ合成グルココルチコイドであるデキサメタゾンは炎症反応(血管透過性反応)を用量依存的に強く抑制した。嚢内液のPGおよびLTレベルも抑制したがその抑制はあまり強くなかった。 3.リポキシゲナーゼ阻害薬AA861の作用の検討 AA861はLTレベルのみならずPGレベルもまた用量依存的に強く抑制した。酵素学的にシクロオキシゲナーゼ抑制作用がないとされるAA861がPGレベルを抑制することのメカニズムは不明確であるが、PGレベルの抑制は培養細胞系でも認められる事実である。このようにLTおよびPGレベルを共にグルココルチコイドよりも遙かに強く抑制するにも係わらずAA861による血管透過性反応の抑制はグルココルチコイドにくらべて遙かに弱かった。 4.結論 AA861はLTおよびPGレベルを共にグルココルチコイドよりも遙かに強く抑制するにも拘らず、炎症反応(血管透過性)抑制の法は逆にグルココルチコイドに比べて遙かに弱いという事実から見て、コルチコイドの抗炎症作用のメカニズムとしてPGおよびLTの同時抑制を考えることには無理があると結論される。
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