1990 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来のホスホリパ-ゼCの分子構造と生体膜への作用に関する研究
Project/Area Number |
63480465
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池沢 宏郎 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40080163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 とも子 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (70214533)
冨田 昌弘 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (20183494)
田口 良 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (20080210)
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Keywords | 細菌ホスホリパ-ゼC / ホスホリパ-ゼCの分子構造 / 生体膜へのホスホリパ-ゼCの作用 / PIアンカ-膜蛋白質 / 赤血球膜 |
Research Abstract |
1、ホスホリパ-ゼCの分子構造の研究ーすでに一次構造を決定したBacillus cereusのスフィンゴミエリナ-ゼ(スフィンゴミエリン分解型ホスホリパ-ゼC)について、コンピュ-タ-解析とCDスペクトルの測定を併用し、二次構造の解析を行った。その結果、αーヘリックス含量はほとんどゼロに近く、βー構造も少なく、ル-プやタ-ン構造にほぼ半数に近い150アミノ酸残基が関与していることが明らかとなった。すでにDTTによる失活で明らかとなった1ケのシスチン橋は、ル-プまたはタ-ン構造の中に含まれることが示された。本酵素は、同じB.cereusが生産するホスファチジルコリン分解型ホスホリパ-ゼCとは一次構造上のホモロジ-がなく、やはりスフィンゴミエリンを分解するClostridium perfringensのαー毒素との間に局所的なホモロジ-が存在することがわかった。 2、ウシ赤血球膜へのスフィンゴミエリナ-ゼの作用に関する研究。スフィンゴミエリナ-ゼによるウシ赤血球の溶血反応の系に、ミツバチ毒のmelittinを加えると、hot溶血(膜透過性の亢進が促進されたが、膜スフィンゴミエリン分解、膜への酵素吸着には影響がなかった。 3、ホスファチジルイノシト-ル分解型ホスホリパ-ゼCにより遊離される真核細胞の膜蛋白(PI結合糖蛋白)の研究ーPI結合糖蛋白の1つであるウシ肝5'ーヌクレオチダ-ゼについて、N末アミノ酸配列の分析とcDNAの塩基配列決定とを併用して、全アミノ酸配列を決定すると共に、そのC末端に存在するPIーグリカン結合のための疎水性シグナルペプチドが25アミノ酸残基から成ることを発見した。また、ニワトリやラット肝の5'ーヌクレオチダ-ゼは、細胞質膜からリソゾ-ムへ移るとき、大部分が可溶化型となるが、一部はPIアンカ-型で残ることがわかった。また、カイコ中腸アミノペプチダ-ゼを精製した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Taguchi,R.,Funahashi,Y.,Ikezawa,H.and Nakashima,I.: "Analysis of PI (phosphatidylinositol)ーanchoring antigens in a patient of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria (PNH) reveals deficiency of lF5 antigen (CD59),a new complementーregulatory factor." FEBS Letters. 261. 142-146 (1990)
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[Publications] Tomita,M.,Nakai,K.,Yamada,A.,Taguchi,R.and Ikezawa,H.: "Secondary structure of sphingomyelinase from <Bacillus cereus>___ー." Journal of Biochemistry (Tokyo). 108. 811-815 (1990)
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[Publications] Tomita,M.,Taguchi,R.and Ikezawa,H.: "Sphingomyelinase of <Bacillus cereus>___ー as a bacterial hemolysin." Journal of ToxicologyーToxin Reviews. 10. (1991)
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[Publications] Tomita,M.,Tanaka,T.,Taguchi,R.and Ikezawa,H.: "Different functions of Mg^<2+> and Mn^<2+> in the actions of sphingomyelinase from <Bacillus cereus>___ー onto bovine erythrocytes." Life Science Advances.
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[Publications] 池沢 宏郎: "「ホスファチジルイノシト-ル結合膜タンパク質の生合成」日本生化学会編 新生化学実験講座3 糖質I,膜タンパク質(下)" 東京化学同人, 4 (1990)