1989 Fiscal Year Annual Research Report
細胞毒素蛋白質リシンA鎖の基質RNAに対する特異性の決定と、その機能構造の改変
Project/Area Number |
63480492
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
遠藤 弥重太 山梨医科大学, 医学部・生化学第二講座, 助教授 (40093843)
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Keywords | 細胞毒素蛋白質 / リシンA鎖 / リボソ-ム / リボソ-ムRNA / 毒素ドメイン / RNA N-グリコシダ-ゼ / RNAオリゴマ- |
Research Abstract |
1.合成RNA基質を用いたリシンA鎖のリボソ-ム不活性化機構の解析 細胞毒素タンパク質、リシンA鎖(RCA)はユニ-クな酵素“RNA N-グリコシダ-ゼ"であって、rRNA鎖中の一個のN-グリコシド結合を水解し、リボソ-ムを不活性化する。RCAの作用部位は、28SrRNAの5'末端から4324番目のアデノシン残基で、この部位は31塩基より成るステムル-プ構造(毒素ドメイン)内に位置している。申請者はRCAの酵素反応機構を解明する目的で、毒素ドメインを模した、35塩基の合成RNA基質(ワイルド型)を昨年度に開発した。本研究は、このワイルド型を基本として、45種類の変異RNAを合成し、RCAの基質特異性を調べたところ、次の事実が明らかになった。RCAに対する必須基質構造として、(1)ステムル-プ構造を有する、(2)ル-プ中のGÅGA配列(○印は水解部位)が、ステム軸の中央に位置する、(3)最小ステム長は3塩基対である。ことなどである。 2.RNAとタンパク質の相互作用(細胞毒素タンパク質α-サルシンを用いた毒素ドメインの構造解析) カビの産生する抗腫瘍因子、α-サルシン(SAR)は、特殊なRNA分解酵素で、大rRNAのRCA作用部位に隣接するA4325/G4326間の燐酸ジエステル結合を一個水解し、リボソ-ムを不活性化する。本研究は、リボソ-ムの毒素ドメインの高次構造を解明する目的で、SARを探査針として、上記の種々の合成基質を用いて、その感受性を調べた。その結果、毒素ドメインが極めて特異な3次構造を保持していることが推測された。 合成毒素ドメインは、リボソ-ム不活性化タンパク質の作用機構や、リボソ-ム粒子中の毒素ドメインの機能構造を解明する上に有用であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 遠藤弥重太: "The cytotoxins α-sarcin and ricin retain their spspecificity when tested on a synthetic oligoribonucleotide that mimics a region of 28 S ribosomal ribonucleic acid" Nucleic Acids Res.Sympo.Ser.49. 137-138 (1988)
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[Publications] 遠藤弥重太: "The mechanism of action of the cytotoxic lectin from phoradendron californicum:the RNA N-glycosidase activity of the protein" FEBS Lett.248. 115-118 (1989)
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[Publications] 遠藤弥重太: "RNA-Protein Interaction:an analysis with RNA oligonucleotides of the recognition by α-sarcin of a ribosomal domain critical for function" J.Biol.Chem.265. 2216-2222 (1990)
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[Publications] 遠藤弥重太: "An analysis of the substrate specificity of ricin A-chain with synthetic oligonucleotides as substrate"
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[Publications] 遠藤弥重太: "A dynamic structure of the toxin domain of 28 S RNA in eukaryotic ribosomes during protein synthesis"
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[Publications] 遠藤弥重太: "Advances in Lectin Research,Volume2" VEB Verlag Volk und Gesundheit(Edited by Hartmut Franz), 112 (1989)