1990 Fiscal Year Annual Research Report
メッセンジャ-RNA5′末端キャップ構造の形成機構と機能に関する研究
Project/Area Number |
63480498
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水本 清久 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (80092344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 道子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (60114550)
菅野 純子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80192756)
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Keywords | キャップ構造 / mRNAキャッピング酵素 / mRNAグアニル酸転移酵素 / 酵素ーGMP共有結合中間体 / 活性中心 / 酵母 / 転写開始複合体 |
Research Abstract |
昨年度にひき続き、mRNAキャッピング酵素の構造と機能について、酵素化学的並びに分子生物学的研究を行ない、以下の結果を得た。1.酵母mRNAキャッピング酵素は、α鎖(mRNAグアニル酸転移酵素、GTase)とβ鎖(RNA5'ートリホスファタ-ゼ、TPase)の二種類のサブユニットから成る。これまでに我々は、GTaseによるキャップ形成反応(GTP+ppNー→GpppNー+PPi)は、酵素(E)ーGMP共有結合中間体を経ることを示した。今回、EーGMPにおいて、GMPは酵素リジン残基のεーアミノ基にホスホアミド結合を介して結合していることを示した。2.酵母α鎖遺伝子(すでにクロ-ニングずみ)をT7ポリメラ-ゼの発現系を利用して大腸菌で大量発現させ、高度に精製したα鎖タンパク質を得た。精製した組換えα鎖は、β鎖非存在下に、EーGMP形成のみならずキャップを合成する能力を有していた。3.組換え酵素を用い、GMP結合サイトを含む活性中心近傍のアミノ酸配列(60ー75番目)を決定した。4.α鎖の機能ドメインの検索を行なう目的で、N末端、C末端、ペプチド鎖内部等における種々欠失変異体を作製し、EーGMP形成活性に与える影響を調べた。その結果、どの領域においても十数アミノ酸程度の欠失でも大きく活性に影響し、分子全体が活性発現に重要な役割を演じていることが示唆された。5.パルスフィ-ルドグラジェント電気泳動法により、α鎖遺伝子が酵母第7染色体上に存在することを明らかにした。6.HeLa細胞抽出液を用いた、RNAポリメラ-ゼIIによるin vitro転写系による解析から、転写開始複合体中にはキャッピング酵素が特異的に組み込まれ、機能していることを明らかにした。また、転写開始複合体形成にはATPのγ位リン酸基の水解が必要である。ATP水解要求性に関与する因子をHeLa細胞核抽出液より部分精製したところ、活性は少なくとも二つの相補的な分画に分離することが明らかとなった。
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[Publications] H.Yamada,S.Hayata,T.OmataーYamada,H.Taira,K.Mizumoto,K.Iwasaki: "Association of the Sendai virus C protein with nucleocapsids." Archives of Virology. 113. 245-253 (1990)
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[Publications] Y.Shibagaki,N.Itoh,H.Yamada,S.Nagata,Y.Kaziro,K.Mizumoto: "Messenger RNA capping enzyme:Isolation and characterization of the gene encoding yeast mRNA guanylyltransferase." Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Y.Shibagaki,M.Kato,K.Mizumoto: "Localization of active site in yeast mRNA capping enzyme." Proceedings of the National Academy of Sciences,USA.
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[Publications] Z.Tsuchihashi,H.Yamada,K.Mizumoto: "Initiation complex formation in <in>___ー <vitro>___ー transcription system directed by RNA polymerase II:ATP requirement." The Journal of Biochemistry.
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[Publications] K.Mizumoto,K.Muroya,T.Takagi: "Transcription and mRNA capping of Sendai virus(HVJ)." The EMBO Journal.
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[Publications] K.Mizumoto,Y.Shibagaki,N.Itoh,H.Yamada,S.Nagata,Y.Kaziro: "Nucleic Acid Methylation(Eds.:G.Clawson,D.Willis,A.Weissbach,and P.Jones)" Alan R.Liss.,New York, 425 (1990)
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[Publications] 水本 清久: "分子生物学の進歩5.遺伝子発現の制御II(日本分子生物学会編)" 丸善, 325 (1990)