1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480503
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大村 恒雄 九州大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80029933)
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Keywords | 蛋白質分子の膜通過機構 / 小胞体 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
小胞体については、内腔側に存在する膜蛋白質であるカルボキシエステラーゼE1について研究し、この蛋白質が粗面小胞体の膜結合リボソームで55kdのペプチドとして合成され高マンノース型糖鎖の付加を受けて57kdとなることを確かめた。ついで、E1の部分一次構造を求めてからCDNAのクローニングを行い、全長のCDNAクローンを得てE1の一次構造を解明して、そのアミノ末端には18アミノ酸残基から成る分泌蛋白質型のシグナルペプチドが存在することを明らかにした。E1は細胞外に分泌されることなく、小胞体内腔に留まる蛋白質であるが、その一次構造と内腔に留まる機構との関連についても検討した。 ミトコンドリアについては、ミトコンドリアに輸入される前駆体蛋白質の構造と輸入機構との関連をP-450(SCC)とアドレノドキシンについて研究した。前駆体蛋白質のミトコンドリアへの選択的結合を調べるためのモデル実験系としてリン脂質リポソームを用いて検討した結果、カルジオリピンを含むリポソームには前駆体蛋白質が効率よく結合することを見出した。他の種類の酸性リン脂質では、前駆体蛋白質の結合量は大幅に低下するので、ミトコンドリアへの前駆体蛋白質の結合と輸入にカルジオリピンが関与していると予想された。又、P-450(SCC)前駆体の延長ペプチド部分とアドレノドキシンの成熟型分子とのキメラ蛋白質を作り、このキメラ前駆体蛋白質のどの部分がミトコンドリアへの結合と輸入に必要であるかを検討した。P-450(SCC)前駆体の延長ペプチドは39アミノ酸残基から成るが、ミトコンドリアへの前駆体蛋白質の結合には、このアミノ末端側10〜15残基ていど、輸入には15〜20残基ていどだけが必要であって、他のカルボキシル末端側および成熟型分子の構造には依存しないことが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Harano.: Journal of Biochemistry. 103. 149-155 (1988)
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[Publications] W.J.Ou.: Journal of Biochemistry. 103. 589-595 (1988)
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[Publications] Y.Takagi.: Journal of Biochemistry. 104. 801-806 (1988)
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[Publications] T.Kumamoto.: Journal of Biochemistry. 105. 72-78 (1989)