1988 Fiscal Year Annual Research Report
多形核白血球及び甲状腺細胞におけるスーパーオキシドアニオン生成系の精製と分子機構
Project/Area Number |
63480505
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石村 巽 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (40025599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 龍 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (40101026)
田中 寅彦 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90171785)
荻島 正 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (70177153)
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Keywords | 多形核白血球 / 好中球 / 甲状腺細胞 / スーパーオキシドアニオン / O^-_2 / 活性酸素 |
Research Abstract |
1)多形核白血球のO^-_2生成系の部分精製と性質の解明。 ブタ好中球より無細胞系の調整に成功し,その解析を行った。即ち、好中球のO^-_2生成(NADPHオキシダーゼ)系はこれまで無傷細胞系においてのみ活性化が可能であり、無細胞系では賦活出来なかったためその精製と解析が阻まれていた。我々はブタ好中球に種々の活性化剤を適用して無細胞系における賦活化を検討し、C_<12>〜C_<18>の飽和およびモノ不飽和直鎖脂肪酸が無細胞標品(ホモジネート)中のO^-_2生成系を可逆的に活性化することを見出しこれを記載した(J.Biol.chem.263)。さらにその活性化機構を追究したところ、脂肪酸と形質膜画分に加えて可溶性画分に含まれるタンパク性の因子が必要であり、且つ一回の活性化過程でその活性が消失することから、この因子は膜画分に移行するかあるいは消費されることを推論した。従来、脂肪酸による多形核白血球O^-_2生成系の活性化はcis-ポリ不飽和脂肪酸にのみに限られるとされており、cis-不飽和脂肪酸の挿入による膜の流動化に帰せられていたが今回の我々の知見はこれとは異なる視点を要求する。このタンパク性因子を精製したところ、さらに二つの成分にわかれ、膜標品の脂肪酸による活性化には両成分とも必須であった。 2)甲状腺細胞におけるO^-_2生成系について。 ブタ甲状腺より濾胞膜標品を調整しそのO^-_2生成系を解析したところ、好中球と同じくNADPHを電子供与体とし、さらにカルシウムおよびATPを要求するユニークな系であることが判明した。反応産物としてはO^-_2のみを生じ、H_2O_2の直接生成は見られなかった(J.Biol.chem.264in press)。この事実は形質膜表面におけるO^-_2の積極的生成が多形核白血球に限られた現象ではなく、従来考えられたよりは普遍的な細胞属性であることを示唆する。
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[Publications] Ishimura,Yuzuru,: Progress in Clinical Research. 274. 179-190 (1988)
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[Publications] Tanaka,Torahiko: The Journal of Biological Chemistry. 263. 13670-13676 (1988)
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[Publications] 石村巽: 代謝. 25. (1988)
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[Publications] 田中寅彦: 蛋白質核酸酵素. 33. 2756-2762 (1988)
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[Publications] 田中寅彦: 臨床検査. 32. 1408 (1988)
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[Publications] Nakamura,Yoichi,: The Journal of Biological Chemistry. 264. (1989)
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[Publications] Nakamura,Yoichi: "Calcium dependent NADPH-oxidase in Thyroid Plasma Membrane Fraction produces Superoxide Anion as detected by Diacetyldeuteroheme-substituted Horseradish Peroxtdase, in The Thyvoid" Excerpta Medica, 623-626 (1988)