1990 Fiscal Year Annual Research Report
放射線および化学物質のマウス生殖細胞への曝露による次世代での奇形誘発機構の解析
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63480506
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 修 広島大学, 理学部, 教授 (80034627)
石井 裕 大阪大学, 医学部, 助教授 (20028509)
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Keywords | 放射線 / ENU / 次世代への影響 / 奇形 / 仮死 / マウス / 突然変異 / 遺伝リスク |
Research Abstract |
放射線や、化学物質の遺伝的影響について、野村による“マウス催奇性突然変異"検出法を用い実験を行い以下の成果を得た。 1、X線とENUの比較:ICR雄マウスの成熟精子期と精原細胞期にENU 50μg/gおよび100μg/g体重を腹腔内注射し、無処置ICR雌マウスと交配したところ、F_1胎児にENU量に比例して形態的奇形が誘発された。X線による結果に反し、精原細胞期の方がENUに高感受性であった。上記結果はRussellによるマウス特定座位法による突然変異の結果と完全に一致した。 2、機能異常児(仮死)の検出:ENU(50、100μg/g)をICR雄マウスの精子・精子細胞期または精原細胞期に作用させ、無処置雌マウスと交配し、妊娠18日目に帝王切開を行った。直ちに、胎児の人工蘇生を行い、蘇生不能児および形態的異常児の検出を行った。ヒトのRDS(Respiratory Distress Syndrome)に極似した蘇生不能児が50μg/gで0.8、0.5%;100μg/gで2.3、3.7%に誘発された。しかも、約半数は形態学的奇形を伴っていなかった。X線(5Gy)にても仮死がF_1に有意に誘発された。 3、誘発奇形の遺伝性:次世代に誘発される奇形の大多数は、致死的なものであった。生存可能な奇形胎児は乳母にて飼育し、次の世代への奇形の遺伝性を調べた。小人症は7ー40%、曲尾は7ー18%の頻度で次の世代に遺伝していることがわかった。 4、ヒトおよびマウス精子の授精能:合成洗剤につけたヒトおよびマウス精子を透明膜を除去したゴ-ルデンハムスタ-卵に人工授精させ、特殊条件下で培養し、前核形成と、精子染色体を検出しようとしたところ、微量の合成洗剤で授精能を失うことがわかった。 5、WHO勧告の作成:平成2年4月、野村による本検出法を医薬品の遺伝毒性検出法として用うることを加盟国に勧告することにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nomura,T.: "An Examination of Respiratory Distress and Chromosomal Abnormalities in the Offspring of Male Mice Treated with Ethylnitrosourea." Mutation Res.229. 115-122 (1990)
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[Publications] Yamamoto,O.: "HTO Oral Administration in Mice (I) Threshold Dose Rate of Haematopoietic Death." Intl.J.Radiat,Biol.57. 543-549 (1990)
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[Publications] Nomura,T.: "Of Mice and Men?" Nature. 345. 671 (1990)
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[Publications] Nomura,T.: "SCID (Severe Combined Immunodeficiency) Mice as a New System to Investigate Metastasis of Human Tumor." J.Radiat.Res.31. 287-291 (1990)
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[Publications] Ishii,Y.: "Effect of Alcohol Sulfate,Linear Alkylbenzene Subfonate and Natural Soap on the Development of Fertilized Eggs of the Mouse in vitro." Mutation Res.242. 151-155 (1990)
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[Publications] Nomura,T.: "Suppression of Developmental Anomalies by Maternal Macrophages in Mice." J.Exp.Med.172. 1325-1330 (1990)