1988 Fiscal Year Annual Research Report
アニオンチャンネルのCa^<2+>による制御機構の解明
Project/Area Number |
63480511
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 和秋 大阪大学, 教養部, 助手 (30029714)
|
Keywords | シヤジクモ原形質膜 / 膜の電気的耐圧性 / Ca^<2+>による膜の安定性 / 2価陽イオンとbreakdown現象 / Cl^ーチャンネル / 陰イオン性チャンネル / インダクティヴな膜インピーダンス / 細胞内潅流 |
Research Abstract |
シヤジクモ原形質膜におけるbreakaown現象について、I〕膜の電気的耐圧性、II〕breakdown時に流れる電流成分の分離の2点から論文を投稿中である。概要〕、I〕耐圧性について:1)生理条件下において、Mg^<2+>は膜のCa^<2+>結合部域とCa^<2+>と拮抗的に結合し、膜の電気的耐圧性を滅ずる。2)Ca^<2+>溶液中での耐圧性を基準にすると、Mg^<2+><Ni^<4+><Co^<2+>≦Ca^<2+>〓Ba^<2+>、Sr^<2+><Zn^2の順で耐圧性が増し、この順は平滑筋で得られているCa^<2+>結合部域への他の2価陽イオンの結合順にほぼ一致する。3)pH=7において耐圧性が一番高い。従ってH^+はCa^<2+>の結合部域への結合定数を支配している。4)Na^+、K^+の1価陽イオンは耐圧性に影響を持たない。II〕電流成合について:1)外向きのCl^-の流れが主であること。2)Na^+の寄与は殆どないこと。3)K^+は多少の寄与をすること等を、コリン、テトラメチルアンモニウム塩、Cs^+等を利用することにより明確にした。III〕電気浸透的な水の流れがこの現象に絡む可能性を考え、外液浸透圧を750mM程度に迄変えてみたが、その影響はなかった。IV〕膜インピーダンスがいわゆる興奮時には容量性を顕著に示すのに対し、breakdown時にはインダクティヴになる。これはCa^<21>の結合により電気的耐圧性を維持されているCl^-チャンネルの構造が、高圧のために歪む過程に現れる現象と解釈され、その速度論的解析方法を見出した。(以上投稿中論文要約)。V〕現在と次年度:現在細胞内Cl^-濃度を変え、細胞内よりCl^-チャンネルの性質を研究中である。このチャンネルはCl^-に対する特異性が低く、陰イオンチャンネルとして考えるべきではないかとのデータを得つつある。この陰イオン性チャンネルと、興奮時に主役を果たすCa^<2+>によって活性化されるCl^-チャンネルとの関係をより明確に出来る実験系を進めている。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 大川和秋: Journal of Membrane Biology. 103. 273-282 (1988)
-
[Publications] 筒井泉雄: Journal of Membrane Biology. 96. 65-73 (1987)
-
[Publications] 筒井泉雄: Journal of Membrane Biology. 96. 75-85 (1987)
-
[Publications] 大川和秋: Journal of Membrane Biology.
-
[Publications] 大川和秋: Japan Journal of Physiology.
-
[Publications] 井上勲: Biophysical Journal.
-
[Publications] W.D.Stein 編: ION PUMPS:Structure,Function,and Regulation.PCBR Vol.273. 1988. (423-426)