1988 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール胆石形成機序の解明(胆汁中蛋白および非ミセル粒子の意義)
Project/Area Number |
63480520
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶山 梧朗 広島大学, 医学部, 教授 (40034087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田妻 進 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (80201614)
堀内 至 広島大学, 医学部, 講師 (60157055)
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Keywords | コレステロール胆石 / 人皮胆汁 / 胆汁酸 / コレステロール結晶析出時間胆汁蛋白 |
Research Abstract |
開腹術中に無菌的に採取されたヒト胆嚢胆汁2mlを100000gで2時間超遠心後、その上清をセファクリルSー200カラムにて溶出し、胆汁中脂質粒子および蛋白、ムチンを分離した。胆汁中にはコレステロール担送粒子として、胆汁酸ミセルと非ミセル分画中にvesicleが存在するとされているが、我々もカラムフラクションをガスクロマトグラフィー法にて質的に、また透過型電子顕微鏡にて形態学的に検討し、上記の両者を確認した。即ち、レシチンとコレステロールのみにより構成される約1000〓径の球形粒子としてvesicleを、また胆汁酸、レシチンおよびコレステロールからなるミセルである。しかしながら、我々は上記に加えて胆汁中にはdixc様粒子が存在することを確認した。このdisc様粒子は患者の病態に応じて様々な形態を呈し、或るものは直径100ー400〓でrouleau formationを呈し、或るものは500ー1000〓と巨大でmultilamellarであった。一方、蛋白の分布態度はカラム溶出パターン上3峰性で、上記の各脂質粒子の溶出に一致した。さらに興味深い現象として、前述のdisc様粒子の溶出フラクション中にはアポ蛋白Aー1の共溶出が認められた。アポ蛋白Aー1は既にanti-nucleating factorとして報告されているが、このdisc様粒子が蛋白脂質複合体で、安定したコレステロール担送体としてコレステロール結晶の析出性を低下させていることが推察される。胆汁蛋白は現在約10種類が同定されているが、精製された胆汁蛋白のSDS-PAGEによる検討では未知のものが多い。コレステロール胆石形成に関与する蛋白に焦点を絞ると、粘液糖蛋白とアポ蛋白が重要であるが、その他の蛋白についても詳細に検討すべきであろう。また、今回我々が同定した新粒子ーdisc様粒子ーが蛋白と如何に機能的関連をもち、コレステロール結晶析出性に影響を与えるのかが、今後の焦点となるものと考えられる。
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[Publications] 梶山梧朗: 臨床医薬. 4. 191-200 (1988)
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[Publications] 田妻進: 日本消化器病学会雑誌. 85. 2271 (1988)
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[Publications] 田妻進: 日本消化器病学会雑誌. 85. 1530-1535 (1988)
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[Publications] Susumu Tazuma: Gastroenterology. inpress (1989)
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[Publications] Susumu Tazuma: Am J Physiol. 255. G745-G751 (1988)
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[Publications] 水野重樹: 日本臨床代謝学会記録. XXV. 230-231 (1988)