1988 Fiscal Year Annual Research Report
性特異的チトクロームP-450分子種の発現調節機構:ハムスターを中心として
Project/Area Number |
63490001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌滝 哲也 北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 浩明 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (60194065)
小森 雅之 北海道大学, 薬学部, 助手 (40183347)
北田 光一 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90110345)
|
Keywords | ハムスター / 肝ミクロゾーム / 薬物代謝酵素 / チトクロームP-450 / 性差 |
Research Abstract |
1.無処置雌雄ハムスター肝ミクロゾーム(Ms)の電気泳動パターンを比較したところ、チトクロームP-450(P-450)分子量領域およびそれより小さい分子量領域の染色バンドに明らかな性差を認めた。 2.ラット肝Msより精製したP-450に対する抗体による雌雄ハムスター肝Msのウエスタンブロット分析を行ったところ、抗P-450male抗体と交叉反応を示すP-450分子種に性差を認めた。 3.雌雄ハムスター肝Msのテストステロン(TS)水酸化酵素活性を検討したところ、2β-および6β-水酸化酵素活性は雌が有意に高く、7α-水酸化酵素活性は雄が有意に高かった。一方、プロゲステロン水酸化酵素活性には有意な性差が認められなかった。薬物代謝酵素活性についてはエリスロマイシンN-脱メチル化酵素活性に性差を認め、雄が有意に高かった。 4.無処置雌ハムスター肝MsからSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に均一なP-450分子種得た。その分子量は48000、49000(P-450-HSI)および50,000であり、抗P-450male抗体は全ての精製標品と交叉反応を示した。また、P-450-HSIについてはその抗体を作製した。 5.抗P-450-HSI抗体を用い雌雄ハムスター肝Msのウエスタンブロット分析を行ったところ、抗P-450-HSI抗体と反応するP-450は雄肝Msにも存在したが量的には雌ハムスター肝Msに多い分子種であった。 6.雄ハムスターを去勢するとP-450-HSI含量は増加し、去勢雄ハムスターにTSを投与すると減少した。一方、雌では性腺摘除の影響は少なかった。 7.雌雄ハムスター、脳下垂体を摘除したところ薬物代謝酵素活性の上昇と、薬物代謝酵素活性に見られた性差の消失傾向が認められ、ハムスター肝Msにおける薬物代謝酵素活性の性差がラットのそれと類似した機構により調節されている可能性が推察された。
|