1988 Fiscal Year Annual Research Report
RiプラスミドT-DNA上に存在する矮化遺伝子の機能解析と育種への利用
Project/Area Number |
63490005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鎌田 博 筑波大学, 生物化学系, 助教授 (00169608)
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Keywords | Riプラスミド / 機能解析 / ジベレリン / T-DNA / トランスジェニック植物 / 矮化遺伝子 |
Research Abstract |
RiプラスミドT-DNAによる形質転換器官である毛状根は、植物ホルモン無添加培地中で分枝を繰り返しながら活発に増殖する。また、毛状根から誘導した再分化個体(形質転換体)は、不定根分化が著しい。葉が幅広となって波打つ、節間がつまって矮化する等の特徴的な形態を示す。 そこで、このような特性に対するジベレリンの効果を調べた。その結果、毛状根を0.1mg/lのジベレリン(GA_3)で処理した時に最大の生長促進が見られ、ジベレリンの生長促進効果は根の伸長促進及び分枝数の増大によることが明らかとなった。また、毛状根からの再分化個体をジベレリンで処理したところ、葉の形態や節間長が正常個体(非形質転換体)とほぼ同一となった。このことからRiプラスミド形質転換体では生体内ジベレリン合成が抑制されているかあるいはジベレリン活性を抑制する物質が合成されていることが予想された。そこで、ベラドンナとダチュラについて生体内ジベレリンの定性・定量分析を行ったところ、両植物種ともに正常体及び形質転換体における主ジベレリンはGAIであることが判明した。しかし、その含量については正常体及び非形質転換体ともに極めて低く、正確な含量は得られていない。現在、大量の材料を調整している。一方、正常体と形質転換体の生組織を用いてα-アミラーゼ活性を測定したが有意な差は検出できなかった。そこで、マカラスムギの無胚半切種子を用いたα-アミラーゼのジベレリンによるdenovo合成系を利用し、形質転換体より抽出した各種画分についてジベレリン活性を抑制する活性について検討したが、有意な抑制活性を示す画分は得られなかった。ところで、T-DNA上に存在するrolA〜D遺伝子を各々クローン化し、タバコに導入したところ、どの遺伝子を導入しても上記の特徴的な形態を示すことが判明した。現在、rolA〜D遺伝子を各々をキクに導入しており、矮化効果を検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 鎌田博、小野明美: 組織培養. (1989)
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[Publications] H.Hamamoto;A.Ono;H.Kamada;H.Harada: In preparation.
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[Publications] H.Ohkawa;H.Komada;K.Shimomura;H.Harada: J.Plant Physiol.
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[Publications] R.Kato;H.Kamada;M.Asashima: Plant Cell Physiol. (1989)
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[Publications] H.Ohkawa;H.Kamada;H.Sudo;H.Harada: Plant Science. (1989)
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[Publications] A.Isogai;N.Fukuchi;M.Hayashi;H.Kamada;H.Harada;A.Suzuki: Agric Biel Chem. 52(12). 3235-3237 (1988)
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[Publications] 鎌田博 他: "植物バイオテクノロジー事典" 日本エンタープライズ社, 1-235 (1989)
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[Publications] 鎌田博 他: "Riプラスミド" 最新植物バイオテクノロジー要覧R&Dプランニング社,