1989 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスDNA導入トランスジェニックマウスを用いた遺伝子機能の研究
Project/Area Number |
63490020
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Research Institution | School of Medicine, Tokai University |
Principal Investigator |
木村 穣 東海大学, 医学部, 助教授 (10146706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
横山 峯介 実験動物中央研究所, 研究員 (40090930)
勝木 元也 東海大学, 医学部, 教授 (20051732)
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Keywords | トランスジェニックマウス / アンチセンスDNA / 遺伝子工学 / 発生工学 / 疾患モデル |
Research Abstract |
本研究の最終目的はトランスジェニックマウス個体内で、特定の遺伝子のmRNAに相補的なRNA(アンチセンスRNA)を発現させ、標的の遺伝子発現を抑制するシステムを開発し、本来の遺伝子機能を推定することにある。本年度は以下の成果を得た。 1.発現抑制メカニズム・・・ミエリン塩基性タンパク質(MBP)遺伝子のアンチセンスcDNAを導入したトランスジェニックマウスについては、昨年度確立したウェスタンブロット法により、選択的RNAスプライシングにより産生される多数種のMBPがすべて発現抑制を受けることが明らかとなった。また個体差は大きいが、内在性MBPmRNAの量は生後15日目ですでに減少していることも判明した。いずれもアンチセンスRNAの発現量が低いことから核内転写段階での抑制も疑われその直接的な解析法を確立すると共に、新たにアンチセンスMBP遺伝子導入マウスを作成し、8系統のマウスを得、3系統に導入遺伝子の発現を認めた。これらのマウスについては現在解析中である。 2.各種アンチセンスDNA導入マウス・・・昨年度までに作成したがん抑制遺伝子Rbとジストロフィン遺伝子のアンチセンスcDNAを導入したトランスジェニックマウスについては、子孫の取得とその解析を行った。表現型としては網膜芽細胞腫と筋ジストロフィ-症の発症を期待しているが今のところ明らかな症状はない。しかし、後者には歩行異常を呈して早期に死亡した個体もあり、PCR法により筋肉でのアンチセンスRNAの発現を検出した。トランスジェニックマウス同士の交配などによりさらに解析を進めるが、アンチセンスRNAの発現量がきわめて低いため、今後導入遺伝子の改良が必要と思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katsuki,M.,Sato,M.,Kimura,M.,Yokoyama,M.,Kobayashi,K.& Nomura,T.: "Conversion of Normal Behavior to Shiverer by Myelin Basic Protein Antisense cDNA in Transgenic Mice." Science. 241. 593-595 (1988)
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[Publications] Kimura,M.,Sato,M.,Akatsuka,A.,Nozawa-Kimura,S.,Takahashi,R.,Yokoyama,M.,Nomura,T.& Katsuki,M.: "Restoration of myelin formation by a single type of myelin basic protein in transgenic shiverer mice." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86. 5661-5665 (1989)
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[Publications] 木村穣,佐藤正宏,勝木元也: "トランスジェニックマウスを用いた,ミエリン形成機構の解明" 細胞工学. 8. 297-306 (1989)
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[Publications] 勝木元也,木村穣,佐藤正宏: "トランスジェニックマウスによるミエリン形成の解析" 神経研究の進歩. 33. 543-548 (1989)