1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510006
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西川 亮 広島大学, 文学部, 教授 (30033484)
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Keywords | エピクロス / プシュケ-(魂) / anima / animus / プネウマ |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代初期原子論がヘレニズム期の自然哲学のみならず、諸学芸・技術に与えた影響について、とりわけエピクロス、ならびにエピクロス学派やそれを継承した思想を中心に文献学的に調査吟味することにあったことから、昨年度に続いて古代初期原子論のみならず、主としてヘレニズム期の自然学的分野の文献を広く渉猟し、購入可能な文献を当補助金で購入し、またゼロックス等で複写して研究に供した。 本年度は、テオスのナウシプァネスの思想やデモクリトスの神観と自然学との関連、さらにエピクロスの規準論、原子の概念把握、運動理論の発展について文献学的考証を試み、エピクロスにおける宇宙論や自然現象、霊魂論への原子論の適用について検討を加えた。そのためエピクロスの残した書翰のみならずルクレティウスの『物の本性について』の対応箇所・古代記録(ドクソグラフィ)等の比較検討に時間を費した。その結論、特にエピクロスの霊魂論について集中的に検討を加え、魂の構成要素に含まれるaerの役割を究明し、紀要論文に纒めた。そこにおいて構成要素として「無名なもの」と称されるものが、従来多くの学者のするquarta naturaではなく、tertia naturaえあるとする説を文献学的に明示した。またこれらの文章や分析デ-タ等はフロッピディスクにも入力して、次の研究に供することができるよう準備している。
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