1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510058
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Research Institution | Faculty of Human Sciences, OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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Keywords | 行動発達 / カニクイザル / ニホンザル / 母子分離 / 性差 |
Research Abstract |
子ザルの行動発達と、母子間にみられる身体接触と分離の進行の経過を明らかにすることは単に母子関係を解明することにとどまらず、サル類の集団の形成と変容のあり方、換言するならばサル類の適応様式、を明らかにする上においても極めて重要な問題である。本研究は、母子間にみられる多くの行動の継時的変化を明らかにし、また分離の経過と様式を手がかりとする、また異なる視点をとうして母子間係を解明することを目的としてなされたものである。 (1)カニクイザルの研究(主として南が担当)ーーー母子の身体接触を、幼体の1週齢、1ケ月齢、そして2ー4ケ月齢についてみると、1週齢では性差がなく、それ以後性差がみられた。母子の近接に関して、1カ月齢より性差がみられ(雄は雌の2.6倍)、全体をとうしても雄は雌の約2倍と大きな差がみられた。雄と雌の子を持つ母の運動(位置移動)をみると、1カ月齢で雄の子を持つ母ザルの方が他の母ザルよりも多く位置移動を発現させていた。他方、子ザルの位置移動は全体をとうして雄ザルの方が多く発現した。このことは子ザルの性の違いによって成長・成熟に差異のあること、およびそれを背景として母子の活動性に違いを生み出していることを示唆するものである。そのほか、母ザルに向けられた幼体の行動、幼体に向けられた母ザルの行動にも幼体の性差に違いがみられた。しかし、性差は行動の違いによって、あるいは月齢の違いによっても異なり、さらに多くのデ-タを収集する必要性がある。 (2)ニホンザルの研究(主として糸魚川が担当)ーーー出生直後2,3日で子ザルは腹ばいから前肢で身体を支えるような姿勢をとるようになる。生後1ケ月を経過する頃には歩行と走行がかなりの程度に可能となり、母子分離に対する子ザルの側の準備が整う等、この時期にはニホンザルの行動発達における重要な時期のひとつであることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 南徹弘ほか: "未熟児と親の行動その19 特別治療室における児と介護者の24時間の観察" 日本心理学会第52回大会発表論文集. 52. 80 (1988)
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[Publications] 南徹弘: "野性由来カニクイザルの性行動ー交配適期と不適期の比較" 関西心理学会大会発表論文集. 100. 52 (1988)
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[Publications] Nakamichi M,F.Cho,ZT.Minami: "MotherーInfaut interactions of wildーborv,individually caged cynomolgus monkeys(Macaca fascicularis)during the first 14 weeks of infant life" Primates. 31. 213-224 (1990)
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[Publications] 南徹弘: "ロ-レンツと動物行動学" 心の科学. 31.
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[Publications] Minami T.: "Sex differences of filiar pehaiors to its mother during the first ten weeks in cynomolgus macaques" Primates.
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[Publications] Minami.T.: "Sexual behavior of cgnomolgus macaques(Macaca fascicularis)at different times in the menstrual cycle" Primates.
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[Publications] 生涯発達の比較行動学: "生命科学と心理学(糸魚川・北原・編)" 福村出版, 203-225 (1989)
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[Publications] 系統発生からみた発達: "発達心理学I(無藤・高橋・田島・編)" 東大出版会, (1990)