1990 Fiscal Year Annual Research Report
問題行動の相談技法に関する研究:とくに登校拒否に対する行動論的技法を中心として
Project/Area Number |
63510061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 伊六 広島大学, 教育学部, 教授 (80040682)
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Keywords | 登校拒否の行動論的技法 / 伝統的心理療法 / 認知・行動論的技法 / 登校拒否の学校要因 / いわゆる「登校刺激」 |
Research Abstract |
1.登校拒否児およびその治療(再登校の指導)に関連する文献や資料を収集し、治療(再登校の指導)に用いた技法の内容について比較考察した。伝統的な心理療法に基づく文献や資料が多かったが、その技法では、再登校するという行動よりもその底に仮定された「心の病理」を治療することに主眼が置かれたために、治療に長期間を要し、そのことが第二次要因を生んで再登校を困難にさせること,治療には専門的な知識と技能が必要であるために専門家による治療が主となり、親や教師は積極的な関与ができにくくなる傾向がみられたこと、また,登校拒否を起こしやすい子どものパ-ソナリティ要因と家庭(とくに母子関係)の要因は重視したが,学校の要因な軽視もしくは無視する傾向があったことなどが知られた。 これに対し、行動論的ならびに認知・行動論的な治療(再登校の指導)では,再登校するという行動に焦点に合わせ,早期の学校復帰という目標のもとで学校要因を重視し,いわゆる「登校刺激」も積極的に与える方略を用いたこと,また,専門家の指導のもとであっても,親や教師に再登校指導の中心的役割を担当させることなどが知られた。 今後の課題として,これらの両者の基本的な考え方と技法を,個々の事例に即してどのように統合するかという課題が残されている。 2.深刻な登校拒否の状態に陥るのを防止するには、登校拒否が発生した当初の段階で親や教師が適切に対応することが重要である。そのためには、親や教師に基本的な考え方と具体的な対応策と提示し、それを理解・習得させる必要性が痛感される。そこで,一昨年度からの研究の成果をまとめて、先般,親や教師のためにガイドブック(拙著「登校拒否:再登校の指導」ナカニシヤ出版)を出版した。
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Research Products
(1 results)