1989 Fiscal Year Annual Research Report
「幸福感」と「生活満足感」に関する生涯発達心理学的研究
Project/Area Number |
63510064
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
杉山 善朗 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50045332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 豪 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90150557)
中村 浩 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20136956)
竹川 忠男 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50045366)
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Keywords | 「幸福感」 / 「生活満足感」 / 年代交差的研究 / 多変量解析 / ストレス対処行動 / 身体・心理・社会的複合構成概念 / 因果関係モデル |
Research Abstract |
身体・心理・社会的要因の複合的構成概念である「幸福感well-being」および「生活満足感」について、我々は以下のような因果関係モデルを考えている。すなわち、性、年齢の独立変数およびうつ傾向、ストレス度、健康/非健康、死生観などを従属変数として、「ストレス対処行動」が定まり、この媒介変数によって最終的に「幸福感」あるいは「生活満足感」が決定されるというものである。 このモデルにしたがって、昨年度に継続して、本年度は、年代交差的研究に重点をおいてデ-タ収集に当った。対象は、10歳代男女計201名、20歳代男女計627名、30歳代男女計621名、40歳代男女計740名、50歳代男女計351名、60歳代以上男女93名の総計2633名である。調査方法は、(1)「生きがい」意識(PGMX-III)、情緒的サポ-ト、ストレス・コ-ピング尺度、死生観尺度合計93問による心理社会的変数を測るものと、(2)健康/ストレス性関連疾患の有無、ストレス度測定尺度およびSDS尺度によるうつ傾向の合計45問による身体・社会的変数を測定する多面的な調査を実施した。デ-タの処理は「生きがい」意識得点を目的変数としたi.パス解析(因果分析)、ii.数量化II類法による多変量解析によって行われた。 結果は、まだ未完であるが、いまのところストレス・コ-ピング得点と「生きがい」意識得点の問、加齢と「生きがい」意識の問、性別と健康/非健康の問に有意な相関関係が認められている。このような成績により、身体・心理・社会的な複合要因によって決定される「幸福感well-being」および「生活満足感」が性別、年代という独立変数とストレス対処行動という媒介変数によって変動することが示唆された。今後、このような諸点の吟味・検討を進めることによって生涯発達心理学的観点からの本研究の成果をあげたいと考えている。
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[Publications] 杉山善朗: "施設入園高齢者のストレス・コ-ピング" 日本保健医療行動科学会年報. 4. 191-209 (1989)
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[Publications] 杉山善朗: "高齢者の「幸福感(well-being)」と「生きがい」意識を規定する心理・社会的要因の研究" 老年社会科学. 11. 134-150 (1989)
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[Publications] 竹川忠男: "高齢者の知能と「生きがい」意識との関連" 高齢者問題研究. 5. 153-167 (1989)
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[Publications] 竹川忠男: "「高研協式痴呆スケ-ル」の作成に関する研究" 社会老年学. 31. 69-79 (1990)
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[Publications] 杉山善朗: "タイプA行動:中川宗像(編)、「応用心理学講座13」63-81" 福村出版, 389 (1989)
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[Publications] 杉山善朗: "老年期の心理臨床:鑪、村上、山中(編)、「臨床心理学大系12」、260-287" 金子書房, 335 (1990)
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[Publications] 杉山善朗: "死の受容:無藤、高橋、田島(編)、「発達心理学入門II」175-188" 東京大学出版会, 233 (1990)