1990 Fiscal Year Annual Research Report
「幸福感」と「生活満足感」に関する生涯発達心理学的研究
Project/Area Number |
63510064
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
杉山 善朗 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50045332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 豪 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90150557)
中村 浩 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20136956)
竹川 忠男 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50045366)
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Keywords | 幸福感 / 生活満足感 / 生きがい意識 / 多変量解析 / 生涯発達心理学的見解 / 身体・心理・社会的適応能 |
Research Abstract |
課題の研究は、20歳代・30歳代・40歳代・50歳代・60歳代の各年代層にまたがって、2633名を対象として行われた。対象者に、社会的属性・疾病・心身の健康状態・生きがい意識・うつ傾向・情緒的サポ-ト・ストレス対処行動の特徴を調べる計237問の質問紙を個別配布し、完全回答の238名のデ-タを得て、多変量解析を実施した。 得られた結果のあらましは、次のとおりであった。i・生きがい意識は、20歳代でもっとも高いプラスのカテゴリ-・ウエイト値を示し、反対に60歳以上の高齢者がもっとも大きいマイナス値を示した。30歳代や40歳代では、生きがい意識を減弱させるマイナス値が示され、この年代における生活上の厳しさが示唆された。一応の安定をみる50歳代では、わずかではあるがプラス値が見られた。ii・健康状態の量・不良、うつ傾向の高低、認知しているストレス強度の高低、ストレス対処行動の良・不良、情緒的サポ-トの高低など、ひとの身体・心理・社会的状態の良・不良が、個人の生きがい意識を増強させたり、減弱させることが相当にはっきり認められた。 身体的健康、心理的健康、社会的役割の円滑な遂行は、それらが統合されてひとの「幸福感」や「生活満足感」を作るものと考えられ、本研究は、このようなひとが主観的に認知している感情、意識に対して、年代縦断的かつ数理的な解析・検討を実施したものであり、ライフ・サイクルから眺めた生涯発達心理学的な知見をいくつか得ることができた。得られた結果は、エリクソン,E.H.の人格漸成論を参照しながら、身体・心理・社会的適応能の質・量の変動という立場から考察した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 杉山 善朗 ほか: "高齢者の「幸福感(Wellーbeing)」と「生きがい」意識を規定する心理・社会的要因の研究" 老年社会科学. 11. 134-150 (1989)
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[Publications] 杉山 善朗 ほか: "施設入園高齢者のストレス・コ-ピングー施設入園高齢をめぐる心理・社会的要因と身体的健康の関連" 日本保健医療行動科学会年報. 4. 191-209 (1989)
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[Publications] 杉山 善朗 ほか: "施設在園高齢者の生きがい意識に関連する身体・心理・社会的要因の研究" 老年社会科学. 12. 117-126 (1990)
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[Publications] 田島(編),杉山 善朗(分担): "発達心理学入門II「死の受容」" 東大出版会, 175-188 (1990)
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[Publications] 鑪ほか(編),杉山 善朗,竹川 忠男: "臨床心理学大系第12巻「老年期の心理臨床」" 金子書房, 260-287 (1990)