1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510067
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
能見 義博 青山学院大学, 文学部, 教授 (70082584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 憲司 東洋大学, 文学部, 助教授 (00082636)
米澤 俊治 青山学院大学, 文学部, 教授 (10084237)
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Keywords | 観察学習 / 視点 / 愛他行動 / 向社会的行動 / 共感 / 効力感 |
Research Abstract |
本研究の目的は愛他行動の観察学習に関する諸要因を、視点を操作した観察学習によって検討することである。そのため、小学校4年生155名を被験者として、以下の実験を行い、結果を得た。 1.実験手続 愛他行動に関する物語を、絵画とテープレコーダーによるナレーションによって被験者に呈示した。その際、以下のような3視点条件と統制条件の4条件によって呈示を行った。困っているモデルを強調する〔困窮〕視点条件。社会的強化や罰を強調する〔社会的強化〕視点条件。愛他行動を強調する〔愛他行動〕視点条件。観察学習を行なわない統制条件である。観察学習の直後、他の愛他行動場面、3場面についての般化テストを行った。このテストでは共感、愛他行動の有無、強化予期、罰懸念、効力予期について測定した。 2.結果 (1) 愛他行動の観察学習の効果は視点操作によって異なる。 (2) 愛他行動の視点による観察学習は、後のテストで被験者の愛他行動を最も高くする。また、被験者の効力予期を高める。 (3) 困窮者の視点による観察学習は、後のテストで被験者の共感を高める。 (4) 社会的強化の視点による観察学習は、後のテストで被験者の強化予期を低める。 3.考察 愛他行動の観察学習は、いくつかの要因から成り立つといえる。そのうち、本実験の結果から、効力感、共感が愛他行動の遂行における媒介として機能しており、また、観察学習によって学習されたということがわかった。
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