1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510070
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山中 祥男 上智大学, 文学部, 教授 (40103915)
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Keywords | ホルマリン・テスト / tail-flick test / hot plate test / SIA(stress-induced analgesia) / 麻薬性鎮痛薬 / running high / 慢性痛 |
Research Abstract |
ラットを対象にホルマリン誘発性後肢屈曲反応を指標にした新しいタイプの持続(慢性)痛測定法を開発、いくつかのテストによりその有効性を確認した。この方法は、(1)痛み反応を具体的な記録として測定するため、判定に際し客観性および確実性が保たれる。(2)単一反応を指標とするため、同一の痛み成分の継時的変化が観察される。(3)ホルマリン誘発性屈曲反応は、麻薬性鎮痛薬に高い感受性を示し、しかもホルマリンによる痛み反応の他の指標にくらべ、より長時間、一定レベルの反応量が得られるため鎮痛効力試験法として有用である。テストまでの馴化訓練に時間を要すること、再現性に関して約10%のラットに低反応が出現し、しかもその原因が不明であることなどの問題点があるが、馴化訓練に関しては、測定時間の短縮により、訓練日数も短縮することが可能である。実験では、測定時間を高頻度の反応が出現する60分間とした場合、馴化訓練は4〜6日ですむ。 ラット、マウスを対象にストレスのmodulationによってSIA(Stress Induced Analgesia)にどのような相違があらわれるかを検討した。用いられたストレス手続きは冷水浴、拘束、電撃等であり、疼痛テストとしてはtail-flick test,hot plate testであった。また、拘束ストレスにはさらに餌、水の剥奪を加え、SIAが生体に備った具体的な固体維持機能とどう関係するか、また攻撃等の情動反応の操作(薬物による)によってどのように変化するかを検討した。結果は明瞭ではないが、tail-flick testによる結果とhot plate testによる結果に大きな差が見られており、疼痛テストの重要性が示唆された。 ヒトにおけるSIAも検討され、いわゆるrunning highがSIAのメカニズムによるかどうかDolorimeterとcold pressorによって測定した。その結果、ランニングの前後で確かに痛みの閾値、耐性に上昇変化を見た。
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[Publications] 山中祥男: "ストレス行動の基礎ーストレス鎮痛のしくみー" 日本動物心理学会. (1989)
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[Publications] 山中祥男: "痛みと心" クリニカルニュ-ロサイエンス. 7. 961-963 (1989)
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[Publications] 山中祥男: "信号検出理論の実際と適用" 日本医事新報. 3418. 131 (1989)
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[Publications] 山崎重明・山中祥男: "ラットを用いた新しい持続痛測定法" 日本動物心理学年報.
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[Publications] 山中祥男・小池敦: "痛みの研究における心理学の二、三の問題(X)" 上智大学心理学年報. 14. (1990)
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[Publications] 山中祥男: "Painー痛みの基礎と臨床ー" 朝倉書店、高倉・森・佐藤編, 500 (1988)
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[Publications] 山口公信,山中祥男: "現代のエスプリ“痛みの世界"" 至文堂, 232 (1989)