1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510107
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 洋昭 岐阜女子大学, 教養学部, 助教授 (90148198)
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Keywords | 地方名望家 / 酒造業 / 岐阜 |
Research Abstract |
本研究は、戦後三十数年間の岐阜県議会議員の社会適層性の分析を中心とした地方議員の利益代表性についての研究を更に発展させて、地方政治を支え、あるいは動かしてきた「地方名望家層」ー具体的には酒造業を営む地方の名士ーの変容に焦点をあてて、岐阜県の政治分化を分析し、社会学適な考察をくわえてきた。 昭和63年度の研究は、当初の研究目的に従い、研究計画どおりの方法で実施してきた。具体的には、岐阜県内の「造り酒屋」……酒造業者の一覧表をもとに、酒造業者の家系を歴史的に調査し、メンバーの経歴分析のなかで、政治的役職者について研究し、また政治的パトロン関係の調査を実施した。 ただ、当初から予想されたとおり、本研究にとって重要な基礎的資料収集に手間取り、とくに、政治的パトロン関係の資料収集が困難であったが、ほぼ予想どおりの研究成果が達成されつつある。 最後に、昭和63年度の研究結果のまとめを記しておく。従来の研究で指摘されているように、大衆政党の出現は、地方名望家の政治参加に大きな変化をもたらした。岐阜県内においても、政治家の輩出基盤としての酒造業者に変化がみられる。彼らの政治参加には、地方名望家として酒造業者が自身で政治に関わりをもつもの、政治家とパトロン関係をもつことによって政治と関わりをもつもの、政治とは一定の距離をおいてしか関わらないものと三様の関わり方が見られる。そして、自ら政治に参加するのではなく、政治家とパトロン関係をもつことによって政治に参加する方向へと変化してきた。それは政治家自身の特性の変化(職務の専門化など)だけではなく、社会状況とくに経済成長との関わりのなかでひきおこされたものである。
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Research Products
(1 results)