1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510117
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Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
原田 克己 常葉学園浜松大学, 経営情報学部, 教授 (20049878)
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Keywords | 学校法人グループ / 経営崩壊 / 財政力基盤 / 第三セクター的私学経営 |
Research Abstract |
私立大学崩壊最大の理由は、これまでのところその立地条件的制約にすべて帰着するというのがほとんどである。もちろん立地条件にめぐまれないことは並々ならぬ経営努力が必要であることは、九州学院大学があるいはまた本州大学や奥州大学が経営崩壊に至った経緯を調べるまでもなく明らかである。しかし立地条件にめぐまれないことが経営崩壊のすべてであるとするならば、これら大学の再生の途はありえないということになる。だが、現実には九州学院大は第一工業大学に、本州大学は長野大学に、そして奥州大は富士大学にと校名内容を変更しつつ再生を果しているのである。 もちろん、第一工業大学のように都築教育学園という財政力基盤の強固な学校法人が経営再建の主力になったということが、再建をスムースに進行せしめえたであろう。また、奥州大学を富士大学に再建せしめえることができたのも、富士短大グループの豊富な資金力があずかって力が大きかったことはたしかである。 だが、北日本学院大学や本州大学を再生させた旭川大学や長野大学は強力な学校法人グループがその再建を支援したのでもない。とりわけ、長野大学の再建プロセスはこれからの地方私大の方向性を示す例ともいえよう。本州大学そのものはかなり高い理想を掲げ、日本における協同組合運動の先駆者を網羅し、しかも労働運動のリーダーを加えた教員布陣はかなりアカデミックな内容のものであった。いかな教育県長野においてもマルクス主義経済学は地元の住民感情とはかけはなれた内容であったろう。だからこそ問題意識を明らかにしつつもなおイデオロギー的立場を鮮明にすることを拒否する地域感情は、社会福祉学や産業社会学への期待を大きくすることになった。しかも長野県や上田市とのパートナーシップを基盤とに第三セクター的私学経営の方向を明確にした。
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