1988 Fiscal Year Annual Research Report
1968年以後のイタリアに於ける中・高等教育を中心とした教育改革の総合的研究
Project/Area Number |
63510147
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
酒井 ツギ子 山口女子大学, 文学部, 助教授 (00186991)
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Keywords | イタリアの教育改革 / 大学入試制度 / カリキュラム改革 / イタリアの進路指導 / リチェオ / 教師養成制度 / マトゥリタ試験 / 〈五月革命〉 / 障害児の統合教育 / 大学教育と生涯教育 / 〈150時間〉 |
Research Abstract |
1968年〈五月革命〉に端を発したイタリアの大学改革は、世界を席巻した学生運動と改革要求のなかでも、希に見る抜本的な変革をもたらした。すなわち、大学入試制度の廃止、カリキュラム及び単位取得制度の改革、出席義務免除等のなかで、伝統的エリート大学は完全な〈マス大学〉に変貌を遂げた。63年度では先づ、それらの具体的な内容を明らかにするとともに初期の理念と目的が現在どのように実現されているのかその実状と問題点を明らかにした。 第二に、大学改革に連動して必然的に持ち上がった、後期中等教育改革の現状を、1985年5月28日に上院を通過し、目下下院審議中の〈後期中等教育に関する教育法〉案に基づいて分析し、教育改革の全構想を明らかにした。この法案は、伝統ある文化系高校(liceo classico)及び、理系高校(liceo scientifico)の、歴史的エリート高校制度を解消して21世紀に向けての統合的な高校制度を確立しようとするものである。 新法案では、第一期2年:biennioと、第二期3年からなる5年制総合高校が提示された。このbiennioでは、一般教養を共通科目として習得し、三年目から専門コースを専攻することとなる。この改革で、従来ある教百に及ぶ専門学校が総合高校に吸収されるので、学生にとっても教師にとっても、進路選択はこの時期のもっとも重要な課題となってきた。63年度は、biennioの実験学校の報告も考察しつつ、新高校の行政組織、カリキュラム、進路指導などを焦点的に検討し、その特徴を明らかにすべく、諸資料の解読を行ってきた。 第三に、上記改革に伴い同時に行われている高校卒業資格試験(esamedi maturita)につき、その内容、方法、資格水準につき考察するとともに、その他、教師養成制度改革、義務教育延長案、職業教育等についても、検討し、ほぼ、改革の全体像を概括した。
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Research Products
(1 results)