1989 Fiscal Year Annual Research Report
日本近世における民衆教育史研究のため伊勢国の寺子屋・私塾・郷学校の実態の調査研究
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63510154
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Research Institution | Akatsuki Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
梅村 佳代 暁学園短期大学, 初等教育学科, 教授 (10085318)
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Keywords | 伊勢国 / 民衆教育史 / 寺子屋 / 私塾 / 郷学校 / 奉公人 / 地方文人・南川金渓 / 往来物 |
Research Abstract |
平成元年度の課題研究にもとづく調査研究の実績概要は以下の通りである。 1.伊勢国内に存在した寺子屋・私塾・郷学校の概要について『三重県教育史』第1巻の巻末一覧表の709事例をもとに、あらたに刊行された市町村史誌の記述を加え、独自に調査した筆子塚・顕影碑等の内容を含めて伊勢国の寺子屋・私塾・郷学校の実態調査結果として表にまとめた。 2.伊勢国飯高郡塚本村に存在した寺子屋「寿硯堂」に学んだ子どもたちのうち、塚本村の子どもたちの実態についえは先年度において明らかにしたので、隣村の船江村の子どもたちを中心に実態を究明し、塚本村の事例と同様、江戸や大阪・京都に年季奉公人として出国していく姿を解明した。論文「近世の寺子屋教育ー近世社会の子どもの姿」として発表。 3.伊勢国松坂は江戸店や京都・大阪に本店等をもつ豪商が多数存在していたが、松坂周辺農村は伊勢商人としての自立をめざす奉公人の供給地でもあったが、飯南郡射和村の事例をもとに幕末の村の奉公人の出入りを知ることのできる奉公人帳や、人口の出入りの概要をとらえるために射和村の宗旨人別帳などの村方文書を調査し目録としてまとめた。 4.伊勢国の寺子屋の教育内容が伺われる寺子屋で使われた従来物等の教科書類を三重郡菰野の吉沢村野呂家文書をもとに調査し目録化した。 5.伊勢国北部の菰野藩の藩儒として出仕した農民出身の文人南川金渓をとり上げ、金渓の生涯を「南川家小伝・先府君行状」に、儒者・文人としての活動を「金渓雑話」全三巻「閉散余録」に、藩主の侍講として江戸に出府した1年間の儒医としての生活を「金渓東遊日誌」をもとに研究し明らかにして第33回教育史学会において「伊勢国の文人南川金渓の研究」として発表した。 6.伊勢国を中心に信濃国・美濃国等の農村史料調査結果を冊子にした。
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Research Products
(1 results)