1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510164
|
Research Institution | THE NATIONAL INSTITUTION OF SPECIAL EDUCATION |
Principal Investigator |
近藤 久史 国立特殊教育総合研究所, 病弱教育研究部, 主任研究官 (60132718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢吹 和美 国立特殊教育総合研究部, 病弱教育研究部, 室長 (70099943)
|
Keywords | 授業 / 長期入院児 / 進行性筋ジストロフィ-症 / 危機 / 内的体験 / 意識 / 癒し / 自己表現 |
Research Abstract |
長期入院児の中には、生涯を病院で送らねばならない者がいる。本研究では、高等部にいる進行性ジストロフィ-症の生徒の授業を研究の対象として分析した。高等部にいる筋ジスの生徒は、思春期青年期にあり、自分自身の内面を見つめ、自分はどのようにして生まれ、どのようにして生きてきたのか、そしていかに生きればよいのかを問うことが多い。一方、病気の進行により、身体機能が徐々に低下するにつれて、死を意識して生きざるを得なくなる。自分自身を知り、自分の将来への可能性を探るときに、筋ジスの生徒は、残された自分の生をいかに生きるべきかを必死に問わなければならない。迫りくる死の影の不安をいだきつつ、自分の人生を歩まなければならない。 そこで、一人の教師が自ら描いた絵を通して、生徒と生き方について語り合う「養訓・訓練」の授業を計画し、実施した。その結果を、生徒の実態を参照しながら、授業逐語記録から詳細に検討分析した。 授業分析の結果、以下のことが示唆された。1.授業は、長期入院児にとって、浄化(カタルシス)の力をもっている。2.授業は、長期入院児にとって、癒しの力を備えている。3.授業は、長期入院児にとって、自分の生き方を問い、自分の人生を拓くことにつながっている。4.長期入院児のいる学校の授業では、教師のオリジナリティ-が重要な意味をもつ。 以上の結果から、長期入院児にとって授業は、単に知識や技能を獲得していくばかりでなく、自分自身の人生と深くかかわってくる重要な、意味のある場であることがわかる。
|
Research Products
(2 results)