1988 Fiscal Year Annual Research Report
「ネパール都市カースト社会のコンピュータ定量解析による通カースト比較研究」
Project/Area Number |
63510169
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
山本 勇次 活水女子大学, 文学部, 助教授 (50114806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 右一 長崎大学, 教育学部, 助教授 (60128171)
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Keywords | ポカラ全戸調査 / C言語 / 電算機入力済みのデータの自動修正プログラム / パソコンによる項目別集計プログラム / 通カースト定量比較 / 都市化傾向 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は、電算機に入力済みのデータをパソコンに取り出し、カースト別の基礎集計をすることにあった。その為には、(1)データ項目の集計用カテゴリー化、(2)項目別の集計用プログラムの開発が必要である。(1)に於ては、ネパール語の表記法自体が未確定な上に、そのローマ字化方法の不統一が加わって、電算機処理が困難であった。しかし、日本留学中のネパール人学生の協力を得て山本は「ネパール語パソコン表記上の基準」を作成し、それに基づいて北村は、入力済みデータの自動修正プログラムを開発した。(2)に関しては、市販のパソコン・ソフトが使用不能である為に、北村は各々のデータ項目毎にC言語を使用した「集計用プログラム」を開発した。現在ではカースト・年令・学歴・宗教・居住地・職業(第1のみ)の諸項目がパソコンにより集計可能となった。その一方で山本は、15区のデータを使用して「都市化傾向」のクロス集計分析を試みた。その結果、(1)都市化傾向は教育程度に最も表れやすく宗教において最も表れにくいこと、(2)マトワリ女性が最も都市化傾向を顕著に示し、タガダリ女性が最も表われにくいこと等が判明した。これらの知見に関しては、今秋の人類学会・民族学会連合大会にて発表する予定である。更に、本研究の中間報告書として『ネパール都市カースト社会のコンピュータ定量解析による通カースト比較研究:(1)データ収集と電算機処理に関する方法論的考案』(約350頁)の原稿を準備し、現在その出版をAA研と交渉中である。本研究の今後の課題として、残された諸項目の中でも「戸主との続柄」の集計を急がねばなるまい。それにより、家族形態・カースト通婚・ポリガミー等の通カースト比較が可能となり、文化人類学的に最も興味深い研究テーマが開かれることになるからである。
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