Research Abstract |
1,本研究の二つの基本的課題の第一となる,公開のための史料の修補,一点毎の番号付けと封筒詰めの作業は,VII(留守官書類),VIII(行政官記録),IX(内国事務局記),X(無題名文書)が残っていたが,それぞれ完全に纏りが分解してしまっていたため,部分的に復元し得たのは,VIIIとIXにとどまり,VIIとXは完了させることが出来なかった。 2,二つの基本的作業の第二となる,一点毎のカ-ド取りと史料研究の作業は,目録によってその内容や時期が或る程度絞ることの出来るものはあとに廻し,原型が崩壊してしまっているXXII以下の大分類項目のうち,XXII(所属不明一括史料),XXV(幕末期朝廷関係史料),XXVII(幕末期武家関係史料),XXX(太政官政府関係史料)が残っていたが,この内XXII550点,XXX1038点のカ-ド取りは終了したが,XXVとXXVIIは,時間の都合上,完了させることが出来なかった。 3,『復古記』原史料を,各地に残っている戊辰戦争関係諸史料と比較研究するため,最終年度において,秋田県立図書館,弘前市立図書館,金沢市立図書館の三ケ所に出張し,秋田藩,弘前藩,金沢藩の関係史料を研究・調査した結果,多くは『復古記』原史料と重複しているものの,秋田藩では『復古記』原史料に現れない奥羽列藩同盟形成過程の原史料が存在すること,金沢藩では,薩長主導の戊辰戦争に反対する動きを示する若干の貴重な史料が存在することを確認することが出来た。 4,最終年度は,『復古記』原史料の全体を示す目録作成,『復古記』刊本と『復古記』原史料との史料学的比較研究,並びにその史料内容を,幕末期史料,12・9ク-デタ前後,年貢半減令と西国掌握,関東における戊辰戦争,東北における戊辰戦争,蝦夷地と箱館戦争,東西両京と留守官問題,草奔諸隊,百姓一揆,民衆願書,宗教政策,政府部内史料の12項目について検討することに重点を置き,報告書を作成した。
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