1989 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の対清政策と居留清国人取扱問題ー刑事民事訴訟問題を中心にー
Project/Area Number |
63510194
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
岩壁 義光 神奈川県立博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30124506)
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Keywords | 在留清国人民籍牌規則 / 開港場規則 / 在留清国人取締 / 日清修好条規 / 外国人登録 / 外務省考法局 / 横浜外国人居留地取締規則 / 清国人取締役 |
Research Abstract |
今年度は昨年および今年度において史料調査した在留清国人関係文書の整理、およびMSーDOSファイルに入力することによるデ-タベ-ス化作業を中心に実施した。入力は長崎県立図書館、東京都公文書館、神戸市立文書館、横浜開港資料館、国立公文書館、外務省外交史料館、北海道道立文書館等の諸機関所蔵の公文書を中心に収録されている在留清国人関係文書を対象とした。 全体の所蔵傾向としては、明治7年に制定された「在留清国人民籍牌規則」施行後の関係文書が多く、各開港開市場で取締りに従事した清国人取締役の選定問題、および規則条文と実施上における矛盾を外務省に問い合わせた往復文書が主流を占めている。 また作業と並行して籍牌規則制定について検討を加えた。開港当初から外国奉行を中心に対清国人規則制定が提案されたが、実際上は全国統一的な規則はなく横浜で制定された「横浜外国人居留地取締規則」のように各港ごとに対応が委ねられた。維新後の中央集権国家創設期、頻発する清国人とのトラブル収拾のため外務省は統一的規定制定へと動き出すが、それに拍車をかけたのが「日清修好条規」の制定であった。同条規はその素案段階から領事派遣、または派遣まで地方官が清国人居留民の保護にあたるとしていた。規則制定作業は大坂・横浜・長崎の意見を中心に外務省考法局で開始され、取締的内容の強い「清国人民統轄規則」としてまとめられたが、太政官からの反対で居留清国民の居留実態把握を目的とする在留清国人登録制を基礎とした「清国人民籍牌規則」制定に結果する。この登録制度は清国領事派遣により役目を終るが、その後日清戦争時の取締方法として再度「保護」の名目で復活することになるが、こうした意味で籍牌規則の制定は在留中国人処遇方法の原点となったと考えられる。
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Research Products
(2 results)