1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63510228
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
大脇 潔 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究 (40000509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 芳樹 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 研究員 (40156740)
立木 修 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 研究員 (30124233)
川越 俊一 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 史料調査室長 (20090376)
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Keywords | 型利用の開始 / 鋳型の材質 / 石製鋳型 / 土製鋳型 / 踏み返し / 土製笵 / 木製笵 / 共通原型 |
Research Abstract |
世界各地の型利用の起源に関する研究については、本年度は中国を主要な対象とした。中国における型利用の開始は、殷代初期の青銅器の鋳造に遡る。最古の鋳型が石製か土製かについてはなお明確さを欠くが、どちらが先行するかが、中国における型利用開始の鍵を握っていることが判明した。その後の殷代を代表する青銅容器の型は土型であり、東北アジアの鋳型が石型を主体とするのに対して好対照を示している。 一方、わが国の弥生時代青銅器(銅鐸・銅剣・銅戈・銅矛等)については、鋳型の収集とカード化を実施した。その結果、鋳型は石製が主体を占めるが、一部に土製があり、石製が古く、土製のものが新しい傾向が認められるといった成果を得つつある。この成果は、東北アジアの鋳型の多くが石製であるという事実と大きな関係があるとみられる。 また、中国と日本における銅鏡と、その鋳型の収集とカード化も実施した。その結果、中国では3世紀にすでに鋳型の踏み返しがおこなわれていることが判明した。この成果は、わか国の銅鏡を含む青銅器の製作に、踏み返しの技術が古くから用いられていたことを暗示している。 7世紀以降の型利用の量産品(屋瓦・〓仏・押出仏・製塩土器・瓦器等)は膨大な量にのほるが、これの収集整理・分類を行い、カード化して目下整理中である。屋瓦に関しては、平安時代の笵の実物が数点知られるようになった。それ以前の実例は無いが、瓦当面に残る痕跡からは木製と思われ、材質の変化がここにも認められる。〓仏と押出仏についても茨城県結城廃寺出土例をはじめ、新資料を追加することができ、押出仏と共通する原型から作られた例も新たに確認できた。なお製塩土器や瓦器についても、型を利用した新資料を2〜3追加しえたが、それらについての詳しい分析は来年度に行いたい。
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