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1988 Fiscal Year Annual Research Report

シェイクスピア劇の中層的隠喩構造の研究

Research Project

Project/Area Number 63510254
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

佐々木 充  新潟大学, 教養部, 助教授 (60105228)

Keywords月のフオークロア / 弓矢 / 季節祭 / 道化 / 死と再生
Research Abstract

本年度は、研究対象を「真夏の夜の夢」とし、Shakespeare Studies、Vol・XXIII(1986)に発表した拙論´The Metamorphoses of the Moon´の所論を発展させ、できる限り証明に近づけることが目標であった。その研究成果を報告する。
1.この劇の基本構造は「老→死→再生」という月の三相の変化であり、かつ、その三相に付随する民間伝承、即ち、Old moonにおいては地上の万象は衰退に向い、interlunationでは最悪の事態となり、new moonにおいては上昇に向うという俗信に基づいているという論点に関して、この民間伝承がシェイクスピア時代において存在していたことを明確に示す文献が見出された。
2.この劇の隠喩構造に関しては、弓の比喩(´the moon-like to a silver bow´)の重要性が明らかになった。月と弓はその形状のみならず神話においても結びついている。月神Dianaは弓を持つ狩りの神であり、また豊饒神でもある。さらに弓矢は季節祭と関係する呪具であり、エリザベス朝でも春、森の中に矢を射る儀式が行われたことを示す文献が見出された。さらに弓はRobin Hoodと結びつく。Robin Hoodは季節祭においては自然の再生力の象徴であり、またLord of Misruleとして道化としての性格をも合せ持つ。道化は転倒と笑いによって硬直した生命を一旦死に追いやり、さらにそこから再生させる。この劇においてはRobin Hood-Lord of MisruleはRobin Goodfllow(Puck)とBottomという形で現れる。Ruckは森を狂気の世界と化し、混沌=死の世界に変え、Bottomはロバ(ロバ祭に見られる転倒と、生命力の象徴)となって、この劇の大地的生命力の象徴となる。このようにして、弓の比喩もまたこの劇の隠喩構造の中心に位置し、Puck & Bottomのこの劇における役割に新たな光を与えるものであることが明らかになった。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Publications (1 results)

  • [Publications] 佐々木充: 新潟大学教養部研究紀要.

URL: 

Published: 1990-03-20   Modified: 2016-04-21  

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