1989 Fiscal Year Annual Research Report
EC・社会保障条約・フランスを当事者国とする二国間社会保障条約等の研究
Project/Area Number |
63520025
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩村 正彦 東北大学, 法学部, 助教授 (60125995)
|
Keywords | 社会保障条約 / EC / EC社会保障条約 / 二国間社会保障条約 / フランス社会保障 |
Research Abstract |
1.今年度は、まず、前年度(昭和63年度)の研究の進展状況をふまえて、研究に必要な文献・資料の収集を継続すると共に、パ-ソナル・コンピュ-タを購入して、収集した資料の整理の効率化を図った。また、同時にコンピュ-タ通信網を通してデ-タ・ベ-スへのアクセスを可能にし、能率的な資料収集に務めた。 2.年度前半においては、前年度に引き続きEC社会保障条約の内容の検討を行った。研究成果の取りまとめとの関係から、同条約の全般的な検討からより的を絞った検討へと研究の重点移し、具体的にはEC諸国の中でフランスが特殊な立場にある家族手当の調節問題を当面の研究課題とすることとした。これと並んで、フランスが当事者である2国間社会保障条約の検討を開始した。特に後者については、フランスが現在締結している2国間社会保障条約は、24条約にもおよぶこと、相手国としては、先進ヨ-ロッパ諸国は比較的少数で(これはEC条約が存在するためであろう)、フランスの旧アフリカ植民地が多いこと、東ヨ-ロッパ諸国もふくまれていることが明らかとなった。このことは、EC条約の立場も含めて、関係国間で歴史的、経済的な理由から人的交流(フランスから相手国へ行くか、相手国からフランスへ流入するかにせよ)がある程度頻繁であることが、社会保障条約を生み出す基盤であることを窺わせるといえよう。 3.年度後半において、引き続き資料等の収集を行いつつ、国際的な人的交流の活性化によって生じる社会保障上の問題点を洗い出した。それと並んで、家族手当の支給調整をめぐってEC社会保障条約の解釈上問題が起きた事件を取り上げ、社会保障給付の支給調整がはらむ法的・政治的問題点を検討した。
|