1990 Fiscal Year Annual Research Report
賃金決定・労働市場組織化におけるわが国職能別組合の現代的可能性
Project/Area Number |
63530028
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Research Institution | Kyusui University |
Principal Investigator |
下山 房雄 九州大学, 経済学部, 教授 (70017820)
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Keywords | 職能別組合 / 地域労働市場 / 建設労働 / 請負制度 / 賃金決定機構 |
Research Abstract |
本年度の研究成果としては、まず京都・建設労働というフィ-ルドで行った実態調査のうちのアンケ-ト集計一次分析結果がある。また、3年間にわたる調査研究の最後の年度であったので、総括的知見をとりまとめた。ここでは、前者つまり京都建設労働者アンケ-ト結果の若干を記し、後者は「研究成果報告書」に譲る。 1.基本的属性 京都・宇治など南部が2/3、亀岡・宮津など北部が1/3。年令別では1割がほぼ61歳以上の1929年以前が生年の人であり、30年代生まれが3割、40年代生まれが35%、50年代生まれが2割、21歳以上にあたる60年代生まれは5%であった。回答者の1/4は建設業以外のさまざまな経験を持つ。また半分の世帯が65才以上の高齢者を有し、同じく半分の世帯が末子年令15歳未満だった。 2.就業状況 大工は44%。請負親方・15%、手間請親方・23%、一人親方・24%、労働者・35%。施主の構成は地域個人業主42%、地域一般住民25%、建売・マンション企業1割強。工事対象が木造在来建築であるのが、54%。これらの特徴のうち職種や階層の構成は首都圏での類似調査と似ているが、施主の種類や木造のウエイトは京都的特徴がある。 3.労働意欲 働き甲斐ありと感じている人は平均で6割、階層別では請負親方66%から労働者52%へと従属労働的であるほど低下する。働き甲斐の内容として「難しい仕事を仕上げて」という職人意識的理由が59%、「発注者や施主が喜んで」という労働の社会的有用性確認の意識が39%、「仲間との協力」との共同労働意識が24%であった。第一年度に行った音楽家調査と比較すると、働き甲斐ありの比率が10%ポイント低い。内容的にも違いがあり、職人的意識が強く(音楽家では27%)、社会的有用性確認や共同労働意識(音楽家80%、43%)は相対的に低い。
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Research Products
(2 results)