1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63530075
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
加古 宜士 流通経済大学, 経済学部, 教授 (50094967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 哲嘉 流通経済大学, 経済学部, 教授 (70094985)
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Keywords | 外貨建取引 / 外貨建財務諸表 / テンポラル法 / 決算日レート法 / 貨幣非貨幣法 |
Research Abstract |
本年度は研究初年度にあたり、外国為替換算会計に関する内外の諸見解の整理を基本的な研究テーマとした。アメリカおよびイギリスを中心に、会計基準設定に関する公的機関の文献を集収し、為替換算についての考え方を比較検討した。その結果、この問題をめぐる論点を整理することができた。 外国為替換算会計は二つの領域に分けられる。一つは外貨建取引の換算であり、もう1つは在外支店や子会社等の外貨建財務諸表の換算である。前者については、今年度のテーマは会計処理の研究の前提となる外貨建取引とりわけ為替取引そのものについて理解を深めることであった。為替取引全体とそのなかでも先物為替予約取引について内容を整理をおこなった。(この外貨建取引の会計処理は平成元年度の研究テーマである。) 次に、後者の外貨建財務諸表の換算については、アメリカのFASB52号、イギリスのSSAP20号および国際会計基準IAS21号ならびにわが国の「外貨建取引等会計処理基準」について比較検討した。その結果、外貨建財務諸表の換算については、本国主義と現地主義という相対立する考え方があり、本国主義の立場からはテンポラル法が、また現地主義の立場からは決算日レート法がそれぞれ提唱されていることが整理された。 現在のところ、現地主義にもとづく決算日レート法が有力な考え方といえるのであるが、この考え方に対しては、伝統的原価主義により作成された外貨建財務諸表項目を一律に決算日レートを適用して自由通貨単位に換算される情報の会計学的意味について本質的な疑問を抱くにいたった。決算日レートによる一律換算においては、その前提として時価による外貨建財務諸表を考えるべきではないか、という点が本年度の研究による1つの結論である。
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[Publications] 加古宜士: 企業会計. 41巻1号. 88-97 (1989)
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[Publications] 加古宜士: 税経セミナー. 34巻4号. 2-6 (1989)
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[Publications] 長谷川哲嘉: 会計人コース. 23巻13号. 33-41 (1988)
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[Publications] 長谷川哲嘉: 流通経済大学論集. 23巻3・4号. 77-86 (1989)