1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540191
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤本 正行 新潟大学, 教育学部, 助教授 (00111708)
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Keywords | 回転星 / 降着星 / 流体力学的不安定性 / 物質混合 / Xー線ハ-ヌト / 新星爆発 / 工型超新星爆発 |
Research Abstract |
本研究では,微分回転している星の内部での流体力学的な不安定性、特に非軸対称モ-ドのバロクリニック不安定性によって励起される乱流による角運動量輸送とそれにともなう物質・熱の輸送の効果を調べ、降着物質の持つ角運動量の降着星の進化への影響を評価した。今年度は、現象論的なモデル方程式を組み込んだ恒星進化のコ-ドを用いて、実験を行った。その結果、降着星の進化について、次のような点を明らかにすることできた。1.本研究では、乱流輸送の効率としては、距離尺度として降着層の特徴的な長さをとり、時間尺度を不安定性の成長率から評価した値を採用いたが、バロクリニック不安定による乱流輸送は効率がよく、密度の高い内部では、殆ど一様回転に近い状態が実現されることがわっかた。このことは、これまで回転星の不安定性として考えられてきた、ゴ-ルドライヒとシュウバ-トが唱えたような熱的な不安定性は実際には効かないことを示している。2.表面層は、流入する角運動量のため微分回転することになり、物質混合が起こるが、その結果は、乱流粘性の効率の仮定に依存する。乱流粘性の効率が小さい程、微分回転層が深くなる。物質混合に必要なエネルギ-は回転エネルギ-から供給されるため、乱流粘性率が小さい程、逆に、物質混合は効率がよいことになる。3.白色矮星と中性子星を扱ったが、物質混合の効果は、後者の方が大きい。これは、コンパクトであるため、降着物質の回転エネルギ-が、熱エネルギ-に比して大きく、バロクラインの効果が大きいためと考えられる。 また、白色矮星の場合の物質混合の機構としては、化学的な拡散の効果が提唱されている。微分回転による物質混合の効果と比較するため、この物質拡散の効果を考慮した進化についても、数値実験をし、降着率の小さいときに有効であり、本研究で扱った流体力学的な過程と相補的な関係にあることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤本 正行: "Hydrogen Barning and Dredgeーup during the Major Helium Flash in a Z=0 Model Star" Astrophysical Jaurnal. 351. 245-257 (1990)
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[Publications] D.Hollowell: "Helium Flashes and Hydrogen Mixing in LowーMass Popuration II Stars" Astrophysical Journal. 349. 580-592 (1990)
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[Publications] I.Iben: "Diffusion and Mixing in Classical Nova Precursors" Astrophysical Journal.
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[Publications] 藤本 正行: "Shell Helium Burning inLowーMass Stars I Models in Thermal Eqwlibrium" Astrophysical Journal. 374. (1991)
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[Publications] 藤本 正行: "TwoーComponent Gravitating Systems and RedーGiant like Structure" Astrophysical Jounal.
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[Publications] 藤本 正行: "Evolution of Accreting Stars with Turbulent Mixing" Astrophyscial Journal.