1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540208
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大沼 甫 東京工業大学, 理学部, 教授 (00011544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折原 彦之丞 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (00004432)
清水 肇 東京工業大学, 理学部, 助手 (20178982)
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Keywords | 一重状態重陽子 / 不安定粒子 / 原子核の直接反応 / 終状態相互作用 |
Research Abstract |
磁場中の荷電粒子の運動に関する一次の行列計算を行い、その結果に基づきギャップ55mm、最大磁場1.4テスラ、中心軌道半径40mmの双極磁石を設計、株式会社トーキンに依頼して製作した。この間、ルンゲクッタ法を用いた粒子軌道追跡法による軌道計算のプログラムを作製してより厳密な計算を進め、一次の計算を確かめると同時に、軌道計算の結果を用いて必要な磁石真空箱、検出器箱などの設計製作を行った。 地方、終状態相互作用をとり入れた三体運動学的条件及び位相因子を求めるプログラムを作製し、いろいろな条件のもとで数多くの三体計算を行って、現実的で最良の実験条件を探した。更に、カマックシステム、データ取得用回路及びオンラインプログラムを改良し、荷電粒子と中性子の同時計測を測定できるようにした。 これらの結果に基づき、東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンターにおいて50MeVの^3Heを用いて^<13>C(^3He、at)反応の予備実験を行った。^3Heは同センターで最も高いエネルギーまで加速できる粒子であり、放出されるat(或いは陽子と中性子)のエネルギーも高いので、最初にテストするには最もやり易い。まず陽子のエネルギーを半導体検出器で、中性子の速度スペクトルを飛行距離4.3mのところに置いた液体シンチレーターで測定し、バックグラウンドや偶然同時計数などについての基礎的なデータを取得、次いで同時計測の実験を行い一重状態重陽子atの検出に成功した。即ち、陽子エネルギーと中性子飛行時間の同時計測スペクトルを二次元で表示したときに、^<14>Nの終状態に対応したところに計数が集中して現れ、更にその部分のみを取り出して陽子エネルギーに射影したスペクトルをつくると、終状態相互作用をとり入れた三体計算の予測とよく一致する形が得られた。これにより本研究の成果を他の反応やより高いエネルギーでの反応に拡張する可能性が開けた。
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