1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540221
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
牟田 泰三 広島大学, 理学部, 教授 (80025353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小平 治郎 広島大学, 理学部, 助手 (40127080)
喜久川 政吉 広島大学, 理学部, 講師 (30033830)
米澤 穣 広島大学, 理学部, 助教授 (70033800)
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Keywords | 対称性の自発的破れ / ゲージ場理論 / 有効ポテンシャル / 複合場 / 相転移 / 強結合ゲージ場理論 / 重イオン反応 |
Research Abstract |
初年度は、ゲージ場理論における動的対称性の破れ(Dynamical Symmetry Breaking)を調べるための基本的な道具である複合場の有効ポテンシャルの研究、および、動的対称性の破れの実験的検証の可能性についての検討、に的を絞って計画を遂行した。 1.有効ポテンシャル 動的対称性の破れが起こっているかどうかを調べるのに最も適した方法は、対称性の破れに関与した複合場に対する有効ポテンシャルを計算してみることである。今年度計画では、この複合場の有効ポテンシャルの一般的性質に関して次の二つの研究を行い、天々新たな結果を得た。 (1)複合場の有効ポテンシャルの不定性 複合場の有効ポテンシャルには、外場についての多項式を追加する任意性があることを見出し、物理的に最も妥当な定義を与えるにはどうしたらよいかを検討した。 (2)複合場の有効ポテンシャルのゲージ依存性 ゲージ場理論に対する通常の有効ポテンシャルについて導かれているニールセン-福田-九後 恒等式を、複合場の有効ポテンシャルの場合に拡張することに成功した。これを量子電気力学におけるカイラル対称性の破れの問題に応用し、用いられている近似の妥当性について検討を加えた。 2.実験的検証 強結合量子電気力学では、カイラル対称性が破れて新しい真空が実現している。これが現実に観測されているものとして期待されているのが、重イオン反応で見られる異常なピークである。本計画では、このような反応で本当に新しい真空が発生しているかどうかを、外場の下での格子ゲージ模型の計算機シミュレーションをもちいて調べている。
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[Publications] 井上正人、堅田裕之、牟田泰三、清水克太郎: Progress of Theoretical Physics. 79. 519-534 (1988)
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[Publications] 三谷宣博、牟田泰三、余海礼: Physical Review D. (1989)
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[Publications] 井上正人、牟田泰三、斉藤重一、余海礼: Modern Physics Letters A. (1989)
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[Publications] 井上正人、牟田泰三、落海健彦、: Modern Physics Letters A. (1989)