1988 Fiscal Year Annual Research Report
NiAs型擬二元化合物の磁気的臨界組成近傍の磁性の研究
Project/Area Number |
63540237
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上村 孝 東北大学, 教養部, 助教授 (30005813)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正樹 東北大学, 教養部, 助手 (50162475)
安達 健五 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022991)
|
Keywords | NiAs型化合物 / 遷移金属カルコゲナイド / 磁気的臨界組成 / スピングラス / 磁気モーメント / 非線型磁化率 / 〔high-c〕-〔low-c〕 |
Research Abstract |
1.NiAs型化合物(MX,M:3d遷移元素,X:S,Se,Te)及び擬二元化合物(MM′)X全般について、その磁性と格子定数cとの間に密接な相関があることを示した。多様な磁性を示すこれら物質の磁性を「強い磁性体」と「弱い磁性体」とに分類したとき、一部の例外を除いて前者はCr,Mn,Fe化合物に限られる。他方、MをTi〜Niとしたとき、aがほぼ一定であるにもかかわらず、cはTi〜Fe〔high-c〕とCo,Ni〔lav-c〕とでは約10%の不連続な跳がある。Co,Ni化合物が強い磁性を示さないのは、この大きなcの収縮に起因することを指摘した。また、これらの境界にある(Fe,Co)Se,(Fe,Co)Sの磁気的臨界組成(MCC)近傍での磁気的振舞は、この〔high-c〕→〔low-c〕によるmomentの崩壊によるものとして、またSpin-glass的挙動がみられる〔high-c〕間の擬二元系の磁性も含めて、この観点から統一的に理解できることを示した(J de phyo.col.(1989)印刷中)。 2.(Cr,Co)Sb系の磁性についても、磁気転移点及びCrのmomentの組成変化を求め、1.と同様な観点から理解できることを明らかにした(J de phyo.coll.(1989)印刷中)。 3.Fe_7Se_8,Fe_7S┣D28,Co┣D27┫D2Se┣D28┫D2について、反射ヘペクトル及びシンクロトロン放射光を用いた光電子スペクトルの測定結果から、明らかに両者の間に差異が観測され、このことはFermi level近くのd-bandの差異として解釈し得ることを示した(J de phyo coll.(1989)印刷中)。 4.(Fe,Co)S系について、当研究費で購入したロックインアンプを使用した交流磁化率の測定結果から、MCC近傍の試料について基本波成分X(Co)及び第3高調波成分X(3w)を転移点近傍で求め、Mcc近傍の弱い磁性体の特徴を調べるためには、非線型磁化率の測定が有力な手段であることを示した(日本物理学会 1988年秋)。この点については、目下研究を続行中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Takashi,Kamimura: J.de phys.coll.(1989)
-
[Publications] Takashi,Kamimura;Hideaki,Ido: J.de Phys.coll.(1989)
-
[Publications] K.Sato;H.Kida;M.Fujisawa;T.Kamimura: J.de Phys-coll.(1989)
-
[Publications] Masaki,Sato;Takashi,Kamimura;Takao,Iwata: J.J.Appl.Phys.vol.128,No3. (1989)