1988 Fiscal Year Annual Research Report
NiAs型強磁性/反強磁性人工格子の磁性に関する研究
Project/Area Number |
63540239
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00187981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 啓安 東北大学金属材料研究所, 教授 (60005866)
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Keywords | NiAs型化合物 / 人工格子 / 変調された磁性 / 磁化の温度依存性 |
Research Abstract |
NiAs型化合物の中から強磁性体としてMnSbを反強磁性体としてCrSbを選び、MnSb/CrSb人工格子をRFスパッタ法で石英基板上に作製した。ターゲットとしては、MnSb側はMnSb熔解ターゲットを用いCrSb側はCrターゲット上にSbチップを適当な枚数載せるという複合ターゲットの方法を用いた。参照用として作製したMnSb及びCrSb単層薄膜では、X線回析の結果から〔110〕が膜面垂直に優先配向することがわかった。またCr-Sb系薄膜ではNiAs型のCrSbが生成する組成範囲がMnSbに比べて狭く、Sb組成が過少でも過剰でもアモルファス的になる。更にSb組成が多くなると〔120〕配向したCrSb_2相が生成されることがわかった。 作製されたMnSb/CrSb人工格子は、MnSb層の層厚を等しくしたまま人工周期を200〓から25〓まで変化させ、総膜厚を7000〓になるように繰り返し数を設定したものである。X線回析を用いて構造評価を行ったが、MnとCrの原子散乱因子が非常に近く更にMnSbとCrSbの格子定数に大きな差異が無いため、人工周期性の確認はできなかった。但し高角領域に於ける回析パターンから、人工格子も単層薄膜と同様に〔110〕が膜面垂直に優先配向した繊維構造を持つことがわかった。また人工格子に於ける平均の(110)格子面間隔は、人工周期とともに増大する傾向を持っている。この原因は今のところ明らかでないが、構造上の特徴として注目される。磁気特性の評価としては、VSMを用いて磁化の温度依存性を4.2Kから各々の人工格子のキュリー点まで測定した。磁化の大きさ及びキュリー点は人工周期の減少とともに減少する傾向が見られた。このことは界面合金層の効果として定性的に理解される。また磁化の温度依存性に於て、90K付近と190K付近で磁化の折れ曲がりが見られ、その傾向は人工周期が短い程顕著である。このことは何らかの多層効果の表れとして注目され、今後更に研究を要するところである。
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