1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚田 捷 東京大学, 理学部, 助教授 (90011650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 信幸 東京大学, 理学部, 助手 (90167445)
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Keywords | 超伝導近接効果 / 超伝導-半導体接合 / 超伝導トランジスタ / 超格子超伝導系 |
Research Abstract |
1次元S-N系の近接効果を、厳密な波動関数によるゴルコフ方程式の数値解によって明らかにした。よく用いられるドジャンの現象論は、平均自由行程が熱拡散長より短かいダーティ極限で、またそのときのみ有効であることを明らかにし、逆のクリーン極限にも適用できる一般的な理論を開発した。これによれば常伝導領域へのクーパ対の侵入深さは平均自由行程の増加と共に、熱的拡散長からピパードの特徴的長さへと移行する。これは超伝導トランジスタの基礎物性をよく説明する。更に界面でのペアポテンシャルのとびの大きさを支配するクーパ対の反射係数を導き、これが両側の準粒子の速度比と散乱時間でどう決まるかを明らかにした。また1次元S-N-S系を流れる超伝導電流を、グリーン関数による厳密な表式から計算し、N領域のケミカルポテンシャル依存性を明らかにした。バンド端で急激に立上がり、膜厚が薄いときは振動的な変化が重畳する。 1次元および3次元クローニッヒペニー超格子系のゴルコフ方程式を厳密に解き、超格子超伝導系の基礎を明らかにした。解析的なバンド分散とブロッホ関数により、多バンド系の超伝導の性質を明らかにした。また、超伝導-半導体(金属)接合系の一般的な特徴を探ることができた。得られた特徴は次のとおりである。(1)転移温度は超格子の周期が長いときほぼ一定であるが、それが短かくなると振動的な変化を示す。 (2)ペアポテンシャルの空間変動には、ピパードの特性長程度のスケールのものと、フェルミ波長スケールでのフリーデル振動とがある。超格子の周期が短かくなると、後者の効果が支配的になる。(3)局所状態密度が高い領域での電子間相互作用が強いと超伝導転移温度が高められるが、逆の場合には低くなる。電子間相互作用を一定とすると、ポテンシャルの周期的な変動の導入により、転移温度が高くなることが示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Y.Tanaka,・M.Tsukada: Solid State Commun.65. 287-291 (1988)
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[Publications] Y.Tanaka,・M.Tsukada: Solidltate Commun. 69. 491-495 (1989)
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[Publications] Y.Tanaka,・M.Tsukada: Solid State Commun. 69. 195-199 (1989)
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[Publications] Y.Tanaka,・M.Tsukada: Phys.Rov.B. 37. 5095 (1988)
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[Publications] Y.Tanaka,・M.Tsukada: Phys.Rov.B. 37. 5087 (1988)
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[Publications] Y.Suwa,・Y.Tanaka,・M.Tsukada: Phys.Rov.B. (1989)
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[Publications] 塚田捷: "表面物理入門" 東京大学出版会, 189 (1989)
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[Publications] M.Tsukada,・N.Shima,・Z.Zhu,・H.Ishida,・K,Terakura: "Electronic Structure Excitations of Metal Overlayer on Semiconductor Surfaces,in"Metallization and Metal Semiconducto Interfaces"" Plenum, (1989)