1989 Fiscal Year Annual Research Report
光散乱による高分子ゲルのスピノ-ダル分解と弾性不安定性の研究
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63540272
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
弘津 俊輔 東京工業大学, 理学部, 教授 (40016069)
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Keywords | 高分子ゲル / 体積相転移 / ゲル・ゲル転移 / スピノ-ダル分解 / 光散乱 / 弾性定数 / 弾性不安定性 / パタ-ン形成 |
Research Abstract |
本年度に得られた主な成果を、以下に示す。(AAは、アクリルアミド、NIPAは、N-イソプロピルアクリルアミドを意味する。) 1.スピノ-ダル分解時のパタ-ンと光散乱との相関。 レ-ザ光散乱と顕微鏡像とを同時に観測できるシステムを開発した。それを用いた測定により、NIPAゲルのスピノ-ダル分解の実空間での様相が、一段と明確になった。 2.膨潤時の表面パタ-ンの時間発展 外部条件の変化に応じてゲルが急激な膨潤を行う際には、スピノ-ダル分解時とは異なる形状(多角形)の、規則的パタ-ンが現れ、時間と共に発展して行く。AA及びNIPAゲルで表面パタ-ンの時間発展を測定し、それが指数則を満足することを明らかにした。 3.ゲルに一様な張力を印可する方法の開発と、それを用いた測定。 壊れ易いゲルにも一様な応力を印可出来るような方法を開発し、その技術を利用して、NIPAゲルの体積相転移の一軸性応力依存性を測定した。その結果は、新たに発展させた理論によって非常によく説明できる。 4.静的弾性異常と負のポアッソン比の実測。 3で説明した方法により、体積相転移にとける弾性ソフトニングをNIPAゲルで初めて測定した。体積弾性率はゼロに接近するが、ずれ弾性率は小さな階段状の変化しか示さない事が明かにされた。 5.一軸性張力に対する網目の弾性応答の光散乱による測定。 網目の弾性応答の光散乱による測定の一環として、網目の共同拡散係数の変形依存性を調べた。その結果は、張力によって網目の密度揺らぎは増大すると事を示している。これは、一般的な相転移理論から予測されるものとは反対の結果であり、絡み合いの様なトポロジカルな効果が重要であることを示唆する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 弘津俊輔: "ゲルの膨潤に伴うパタ-ンの形成とそのダイナミックス" 物性研究. 50. 410-419 (1988)
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[Publications] I.Yamamoto,K.Iwasaki and S.Hirotsu: "Light Scattering Studies of Condensation of Poly(N-iso-propylacrylamide)Chain" J.Phys.Soc.Japan. 58. 210-215 (1989)
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[Publications] S.Hirotsu and A.Onuki: "Volume Phase Transition of Polymer Gels under Uniaxial Tension" J.Phys.Soc.Janpan. 58. 1508-1511 (1989)
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[Publications] 金木章郎,弘津俊輔: "ゲルにおける相分離とそれに伴うパタ-ン" 物性研究. 53. 53-60 (1989)
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[Publications] S.Hirotsu: "Elastic Anomaly near the Critical Point of Volume Phase Transition in Polymer Gels" Macromolecules. 23. 903-905 (1990)
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[Publications] S.Hirotsu,A.Kaneki,K.Iwasaki,I,Yamamoto: "Dynamical Aspects of Volume Phase Transition and Pattern Formation" Cooperative Dynamics in Complex Physical Systeme(Ed.H.Takayama) Springer Verlag(Berlin). 68-69 (1989)