1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540273
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 洋介 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一雄 名古屋大学, 教養部, 教授 (10022542)
高野 健一 名古屋大学, 理学部, 助手 (00197112)
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Keywords | ヘリウム膜 / 超流動転移 / メゾスコピック系 / アハラノフ-ボーム効果 / 量子伝導現象 / 共鳴トンネル効果 |
Research Abstract |
多孔質体に吸着したヘリウム膜の超流動転移と、メゾスコピック系の伝導現象を研究した。両者は狭い空間に閉じ込められた量子多体系として共通の側面をもつ問題である。 (1)多孔質体に吸着したヘリウム膜の超流動転移 バイコールガラスや燒結微粒子などの多孔質の物体に吸着したヘリウムの薄膜は、局在的には2次元、全体としては3次元の興味深い系である。純粋な2次元膜では、渦対の結合ー解離による超流動転移が起こることが知られている。この系でも膜上に熱的に励起される渦が転移に重要な役割をもつ。渦対の相互作用を調べ、それが近距離では2次元的、遠距離では1次元的になることを示した。この結果に基づき相転移の起き方を研究し、それが測定に用いられる振動数に依存することを示した。 (2)メゾスコピック系の量子伝導現象 大きさ1μm以下の微小な導体では、mK領域の低温で電子の波動関数の位相が系全体にわたってコヒーレントに保たれ、その結果伝導に著しい量子干渉効果が現れる。このような系をメゾスコピック系という。その量子伝導現象の機構を解明するため、簡単な不規則格子模型を用いてそのコンダクタンスを数値的に求め、その振舞いを調べた。磁場中におかれたリング状の導体では、コンダクタンスの磁場依存性にアハラノフ-ボーム効果による振動が現れるが、その振幅は試料の形状等に依存することが示された。また、試料中の不規則ポテンシャルが強くなると、コンダクタンスに激しいスパイク状の化学ポテンシャル依存性が現れることが分った。これは試料中の局在レベルを通して起こる共鳴トンネル効果によるものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 簑口友紀,長岡洋介: Progress of Theoretical Physics. 80. 397-416 (1988)
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[Publications] 佐和田明美,丹慶勝市,長岡洋介: Journal of the Physical Society of Japan. 58. 639-645 (1989)
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[Publications] 丹慶勝市,佐和田明美,長岡洋介: Journal of the Physical Society of Japan. 58. 368-371 (1989)