1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540281
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小野 嘉之 東邦大学, 理学部, 助教授 (30011761)
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Keywords | 量子ホール効果 / エッヂ状態 / 2次元電子系 / 局在・非局在転移 / メゾスコピック系 / フラクタル次元 / 逆参与数(Inverse Participation Number) / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
強磁場中の2次元電子系における量子ホール効果が、系の有限性の影響をどのように受けるかを明らかにする目的で研究を開始した。不純物を含む有限幅2次元系(円筒表面上にあると仮定)に垂直な磁場を加えた場合の電子状態を、計算機シミュレーションによって求め、解析した結果、 1.バルクの非局在状態とエッヂ状態の間の連続的移り変わり 2.固有状態の重心に関する総和則(これは、ホール伝導度の量子化に重要な役割を果たすことが、西ドイツ・ケルン大学グループの研究から分かっている) 3.非局在状態の広がり方が、2より小さい次元のフラクタル性を持つこと 4.ホール伝導度が充填因子の関数として立上がる領域での大きな揺らぎ 等が明らかになった。 当初計画では、ホール電流分布に対するクーロン相互作用の影響を明らかにする予定であったが、不純物なしの場合に、エッヂに蓄積される空間電筒がホール電場に相当する外部電場を遮蔽することによって、ホール伝導度に対するサイス効果を減少させる可能性があることを確認するにとどまった。また第2の主要な目標であった、不純物を含む系(但し電子間相互作用は無視)での電流分布については、円筒軸に平行な一様外部電場のある場合に、計算機シミュレーションを行い、充填因子によっては、空間的に大きな揺らぎがあること、量子ホール効果のプラトー領域においては、その揺らぎが劇的に押さえられることが判明した。この結果は、局在状態と非局在状態の間のホール電流の補償が、グローバルだけでなく、ローカルにも成立つことを意味する。
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[Publications] Tomi OHTSUKI: Solid State Communications. 68. 787-790 (1988)
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[Publications] Tomi OHTSUKI: Journal of Physical Society of Japan. 58. No.3 (1989)
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[Publications] Yoshiyuki ONO: Journal of Physical Society of Japan. 58. No.5 (1989)