1988 Fiscal Year Annual Research Report
Belousov-Zhabotinsky反応における波動伝播の実験的研究
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63540286
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長島 弘幸 静岡大学, 教養部, 教授 (20015811)
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Keywords | Belousov-Zhabotinsky反応 / 反応拡散系 / 非平衡解放系 / 非線形力学 / カオス |
Research Abstract |
本年度は研究計画にもとずき、画像処理の装置を整備し、そのプログラムを開発した。この装置を使用し、BZ反応の実験結果の解析を行った。今年度は、次の点における新たな知見を得、研究は大きく前進したと言える。 それは、ペースメーカーにより、BZ反応の波長をコントロールする実験において、結果の説明が、定性的に理論によりなされたことである。 すなわち、ペースメーカー(セルロース)の半径をRとし、それより発生する波の波長をλとする。反応に関与するイオンの拡散係数をD、ペースメーカーの強さをΓαとする。振動状態より出発し、拡散の影響を摂動として扱った理論により、摂動の第1次近似として次の固有値方程式を得る。 DV^2Φ+ΓαΦ=ωΦ ここで系を実験に即して2次元(γ、σ)として、γ≦Rの場合には、α(γ、σ)=α、その他の場合には0とし、固有値ωを求め、このωのうち実験の時空関係より、最大固有値ω_Mに着目する。これと発生波長λとの関係は、λ=2π√<D/ω>である。このようにして、理論的にRとλの関係を求めると、次の二点で実験結果をよく説明することが分かった。 すなわちλは、ペースメーカーの半径Rと、方位量子数lの関数としてλ(R、l)と書ける。 1)Rに対して、λは減少関数であり、R→∞でλは一定値に近ずく 2)Rの大のとこで、実験的にはλはまた増え、かつ円形同心円波でなくなるが、これはlが2以上の固有値の影響としてうまく説明できる。 以上の成果をふまえて研究を継続している。
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[Publications] Yoshikazu,BABA: Progress of theoretical Physics. 3. (1989)
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[Publications] Hiroyuki,NAGASHIMA: Journal of Physical Society of Japan.