1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入倉 孝次郎 京都大学, 防災研究所, 教授 (10027253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松波 孝治 京都大学, 防災研究所, 助手 (70027291)
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Keywords | 加速度地震動 / fmax / スリップウィークニングモデル / コヘッシブゾーン / バリアモデル / アスぺリティモデル / 初期クラック |
Research Abstract |
地震の震源での高周波地震動の生成についての研究は震源過程のみならず強震動予測の研究に重要なkeyとなっている。近年震源近傍域で観測された加速度強震記録の解析から、加速度震源スペクトルは高周波数域で平担な特性を有し、ある特定の周波数、いわゆるfmaxより高周波数で減衰することがわかってきた。しかしながら、このfmaxについては震源特性であるか、伝播媒質の減衰効果であるか未だ論争中の問題となっている。本研究は震源での高周波地震動の生成について観測および理論の両面から検討を行った。観測は高槻市にある京大阿部山地震観測所で広帯域速度型強震計を用いてなされ、1988年6月から約8ケ月間にM5.3からM2.3まで約40個の地震動が得られた。従来fmaxはM4以上の中規模地震で調べられていたが、今回の研究でより小さな地震についてもfmaxの存在が確認された。またfmaxは地震規模に依存して、規模が大きくなるにつれてわずかではあるが小さくなることが確かめられた。次にfmaxの震源での生成について理論的観点から調べるため、anti-plane cohesive zone modelに基づき、crack破壊の開始から停止に至る過程を数値シミュレーションを行い、neav-fieldおよびfar-fieldで得られる地震波が計算された。得られた結果は次の様にまとめられる。(1)破壊の成長には適当な大きさの初期crackが必要である。(2)破壊ははじめのゆっくり成長し次第にS波速度に近づく。(3)破壊の停止の条件として、バリア型とアスペリティ型を考えたが、いずれの場合も高周波は停止時に生成され、w^<-2>の特性を有することがわかった。fmaxはLs・β/Li^2(ここでLsは停止時のクラックサイズ、Liは初期クラックサイズ)で与えられる。従ってもし初期クラックの大きさLcがすべての地震で共通ならば、fmaxは大きい地震ほど大きいことになる。しかしながら、観測事実からは、fmaxは逆にやや小さくなり、初期クラックは地震の大きさに依存して大きいことが必要である。
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[Publications] Irikura,K.;H.Fujiwara: Geophysical Jourual Royal Astro.Soc.
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[Publications] Iwata,T.;Irikura,K.: Journal of Physics of the Earth.
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[Publications] Matsunami,K.: Pure and Applied Geophysics. Special Issue. (1989)